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特別企画 「認知症は生活習慣病のうち」 「全市民規模で」見守る

社会

掲載号:2019年10月4日号

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医療法人興生会 相模台病院精神神経科部長 石井達範医師
医療法人興生会 相模台病院精神神経科部長 石井達範医師

 皆さんは「認知症」についてどこまでご存じでしょうか―。

 タウンニュース座間編集室では、世界アルツハイマーデー(9月21日)にあわせて各地で認知症に対する理解の普及・啓発活動が行われたことにちなみ、物忘れ外来を設けるなど、積極的に認知症対策に取り組んでいる相模台病院の精神神経科医師・石井達範氏にインタビューを敢行。医療的な立場から認知症について語ってもらった。

 ―「認知症」って、わかりやすく言うと頭の中で何が起きているのでしょうか。

 ―脳の細胞が老化して、死んでしまい、色々な脳の機能に不都合が生じてしまっているんです。その結果、物忘れや理解力・判断力・注意力の低下など、様々な生活上の支障をきたしてしまうんです。それが良くなったり悪くなったりではなく、ある程度、半年や1年持続している状態が「認知症」です。

 ―認知症にはどれくらいの種類があるのでしょうか。

 ―たくさんあります。ただ、主に4つの種類が全体の8割程度を占めています。罹患率が高い順に言うと、1つ目が「アルツハイマー型認知症」。これがその中の6割から7割近くを占めると言われています。次が「脳血管性認知症」。2割くらいでしょうか。脳梗塞や脳出血あるいは交通事故等による外傷など、そういった他の脳の病気が原因で結果的に認知症状態になるものです。脳卒中が三大疾病の1つになっていることからも、この割合が必然的に増えていると言えると思います。

 ちなみに、この2つが合併した例もあります。その際は、どちらが先ということは置いておいて「混合型認知症」という診断名がついたりします。だからといって治療方法が変わるということはありません。

 そして3つ目が「レビー小体型認知症」、4つ目が「前頭側頭型認知症」です。特徴的な診断名がつくのは主にこの4つです。

 残りは、例えばヤコブ病やHIVなどで認知症状態を起こす場合です。アルコール依存症の人がその後認知症になったりと、いわゆる内科的な他の原因で認知症状態を引き起こすことは大いにあります。

 ―何故「アルツハイマー型」が多いのでしょうか。

 ―「アルツハイマー型」は、異常なたんぱく質が脳の正常な細胞に沈着、付着し、溜まっていって、脳細胞の働きが阻害されることで発症するのですが、原因はわかっていないんです。ですから何故多いのかもわかりません。だから治療法がないんです。この異常なたんぱく質をできなくする特効薬があれば、画期的なんですがね。加齢によってこの異常なたんぱく質ができやすくなるということまでしかわかっていないんです。

 ―予防はできるのでしょうか。

 ―今言ったように認知症のほとんどが原因不明ですから、起きてしまう人は起きてしまいます。ただ、脳梗塞や脳出血のリスクは減らすことができます。認知症全体を見れば食事や運動に気を付けるなど、一般的な生活習慣の改善によって予防することができる認知症はあるわけです。老化を予防することが認知症を予防することにつながるということです。

 ―認知症はどんな治療をするのでしょうか。

 ―「アルツハイマー型」については「抗認知症薬」を使って進行を遅らせ得ると言われていますが、副作用で体の状態が不安定になる場合もありますので、リスクも考えなければなりません。

 原因がわかっていないため、物忘れといった脳の機能の低下(中核症状)に対する根治はできませんが、それに伴う、うつ状態や幻覚、妄想などの症状は緩和することができます。デイサービスの利用などでめりはりのある生活が送れるよう環境を見直したり、投薬することで、生活の質を上げることができます。

 ―受診のタイミングは。

 ―「今までと違うな」と感じた時や家族が違和感を感じた時が良いと思います。内科的な問題が認知症状態を引き起こしている場合もありますのでその判断をするところから始めます。できれば、本人とご家族で受診していただくのが今後のためにも良いと思います。

 ―人生100年時代。認知症の罹患率も増えていくと言われています。

 ―日本は医療の進歩により、以前は治らなかった病気が治るようになりました。ただ一方で超高齢社会となったわけですから、必然的に年を重ねれば重ねるほど認知症の人も増えます。現在は、「介護は若い世代がすること」というイメージがありますが、今後はそのままのイメージでは立ち行かなくなると思います。近い将来、老々介護、同世代での介護が普通になるのではないでしょうか。そうなった時には、やはり当事者だけ、家族だけで介護に取り組むのは難しいと思うんです。そこで重要になってくるのが地域の存在です。当事者にとっては、住み慣れた場所で暮らし続けることが、状態の安定にもつながります。当事者の状態の安定は、家族にとっても負担の軽減になると思います。そして地域全体で当事者を見守り、助け合う体制をつくり、認知症の人だけでなく、「高齢者に優しいまち」をつくることに、私たち医療者や介護者など専門職だけでなく「全市民」で取り組むことが必要なのではないでしょうか。今や認知症はがんをはじめとする生活習慣病と同じように考える時だと思います。(完)

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