日盲連鈴木さん 新5千円札「大きな1歩」 長年の要望、ついに実現
日本盲人会連合が長年に渡り国に要望していた「視覚障がい者が識別しにくい紙幣の改良」が一部受け入れられ、今月12日から新5千円札が発行された。同連合副会長で、国立印刷局で行われた改良記念式典でも挨拶に立った鈴木孝幸さん(相模が丘在住)に、これまでの経緯や展望を取材した。
このほど改良された5千円札は、見た目やサイズは従来の物とは変わらない。表面左下のホログラムを覆う、透明のシールの面積が1・7倍に拡大され、形も従来の楕円形から四角形に変更された。手触りの違うシールを指でなぞることで、視覚障がい者に判別してもらおうという配慮だ。
「多くの視覚障がい者にとって、サイズが殆ど変らない5千円札と1万円札の識別は、これまでとても困難だった。中には、おつりを全て千円札でもらう人もいた」と鈴木副会長。20年以上に渡る要望を経て、昨年5月に国側から「紙幣を改良したい」と、協力を要請する電話が入ったという。
その後、数回にわたり試作品が作製され、その度に試作品を触って感想を寄せた。「シールの形は、1万円札とは全く違った形の方が、判別しやすいのではないか」「シールは、もう少し大きな方がいい」-―。全ての要望が取り入れられたわけではないが、「これで、生活がしやすくなる」と胸をなでおろしている。
鈴木副会長は今回の改良を「大きな第一歩」と話す。「ユーロ紙幣など、サイズや色がはっきりと異なり、全ての人がすぐに識別できる紙幣が多くある。理想はまだまだ遠いが、それでも今回の改良については本当に感謝している」と話した。
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