全国各地の美術作家が所属する「太陽美術協会」(清水源会長)が主催し、全国から400点超の作品が集まった協会展で、立野台在住の吉川邦之助さん(82歳)による油絵「マダガスカルの大根木」が、文部科学大臣賞を受賞した。約10年前から毎年出品し続け、初の文科大臣賞。
「太陽美術展」は、東京都や埼玉県教育委員会の後援を受け、11月16日から24日まで、東京都美術館で催された。フランス大使館も後援に名を連ねており、同国の官展「ル・サロン」との交流もある展示会だ。40回目の今年は油絵を中心に協会員などから400点以上が出品された。23日には表彰式が執り行われた。
10カ月要した大作
「マダガスカルの大根木」は、アフリカのインド洋に浮かぶマダガスカル島をはじめ、アフリカやオーストラリアなどに分布する「バオバブ」を描いたもの。寸胴型の幹と、頂点から四方に広がる枝が特徴的なバオバブは、そのユニークな形で広く知られている。
父親の仕事のため、幼少期をブラジルで過ごした吉川さんは、バオバブに似た木を同国で目にしていた。「大根木」――。独特な形状から、父親がそうネーミングした木は、幼い頃の思い出の一つだった。
「孤独を感じさせながら、堂々と屹立する姿に強く惹かれました」。創作活動では、アフリカで暮らしていた姪にバオバブの話を聞き、写真を見せてもらうことで、昔の記憶を甦らせた。約10カ月かけて完成した作品には、「大根木」と名付けた。 「出すだけでも良い」と無欲な姿勢で、出品した同展。それだけに、受賞の一報を受けた時は驚いたという。「表彰式では、多くの方々から拍手を贈られて嬉しかった。これからも、『良い絵を描こう』という気持ちになりましたよ」と喜ぶ。
更なる創作意欲
40年近く相模原市で学校教員を務め、60歳の定年退職後から絵を描き始めた。主に手掛けるのはヨーロッパの風景。「昔ながらの古きものが残っている街並みが素晴らしい。これからもヨーロッパの風景を描いていきたい」と更なる創作に、意欲を燃やしている。
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