市内在住の渡辺充さんがアライグマによる相模川河川敷の環境破壊に警鐘を鳴らしている。座間市でも近年、アライグマの捕獲数が増えているという。
特定外来生物に指定されているアライグマ。生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物の多様性を確保することなどを目的に、特定外来生物は防除することとなっている。
神奈川県も「第3次アライグマ防除実施計画」に基づき、アライグマの生息分布域の縮小と個体数の減少を目標として、アライグマの防除を進めている。
渡辺さんは2009年ごろから相模川水系の半水棲カニ類(ベンケイガニ、アカテガニなど)の著しい減少に気づいた。足跡や糞などから要因はアライグマによるものと断定し、2012年からアライグマの捕獲を開始した。
アライグマは北米大陸原産の中型哺乳類で、ペットや動物園の展示などのために日本に持ち込まれたのち、捨てられたり、逃げ出したものが多く、それが野生化し日本各地で繁殖している。雑食性で農産物のほか、カニなどの甲殻類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、ネズミ、昆虫なども捕食する。小型・中型犬が被害にあうことも報告されている。
渡辺さんは寒川町で捕獲活動を行い、これまでに98頭を捕獲した。座間市内では今年9月から実施し、市内の相模川で3頭を捕獲。渡辺さんによると、座間市内の相模川河川敷は「生態系が希薄」と感じるという。実際に踏査しても、昆虫類が少なく、それを餌とするトカゲ類も少ない。さらにそれらを捕食するヘビなども少なかったという。
座間市によると、座間市内でのアライグマの生息地は河川敷や畑・田んぼ近くだけでなく、住宅地でも多くの目撃例があり、市内全域で生息しているという。アライグマの市内での捕獲数は2019年4月からの半年間(9月末まで)に20頭で、年々増えているという。同期間でのほかの生物の捕獲数は、ハクビシンが5頭、タヌキが1頭だった(座間市農政課調べ)。
渡辺さんはこのような状況に「人間の勝手で捨てられる多くの外来生物たちは被害者ではあるが、罪のない在来生物たちは持ち込まれた外来生物からの食圧により、または今まで居なかった競合相手によって、数を減少させ地域的に絶滅に追い込まれる状態になってしまう。生態系のバランスも崩れ、私たち人間は生態系、多様性を守る責任・義務があると思う」と話している。
座間市では住被害や農被害があった場合、市に相談してほしいと話す。「天井裏に住み付くこともあるので、壁や屋根の穴をふさいだり、外に野菜くずなどを置かないなど予防も必要です」という。同課では罠の貸し出しや駆除専門業者の紹介なども行っている。
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