座間市視聴覚教育研究協議会の会長を務める 織原 徳雄さん ひばりが丘在住 70歳
古き良きを愛する
○…カラカラと小さな音を立てながらフィルムが回り、柔らかな光を映し出す。昔ながらのフォーマット「16㎜フィルム」の上映を行う座間市視聴覚教育研究協議会に身を置き、39年。気づけば人生の半分以上を過ごしている。高齢者福祉施設やコミュニティセンターなどの施設をまわり、上映会を重ねる。「高価で、繊細で、手間のかかる上映方法。でも、触れるうちに深みにはまっていた」。2月23日(日)には、図書館の「こどもシアター」で上映する。
○…16㎜フィルムとの出会いは、当時勤めていた機械メーカー。会社の備品として置かれていた映写機を目にし、「使えた方がいいかも」と、気軽に市の使用者認定講習会に赴き、会場で誘われるままに協議会に入会した。「当時は16㎜フィルムの最盛期で」。夏季休暇中には、夜の校庭で上映会。画面に子どもの影が映ったり、バックネットに貼ったスクリーン代わりの布が風でたゆんだり。目を見張るような美しさや鮮明さはないが、皆で楽しむ、独特の良さがあった。
○…市内複数のコーラスグループに所属する。以前は歌うことに抵抗感があったが、ラジカセのオマケでついてきたカラオケテープを手にして以来、歌に夢中だ。中でも、童謡や唱歌など、どこか懐かしさを感じさせる歌を好む。「昼カラオケなんかによく行くんだけれど、唱歌を歌うのは私だけ」。目を細めて微笑む。
○…かつて、多くの子どもたちを笑顔にした16㎜フィルム。その映写機も今では生産が中止され、その数は減るばかりだ。協議会員数の減少や、高齢化という問題も抱えている。その一方で、明るいニュースもある。昨年には「視聴覚教育功労者」として、文科省から表彰も受けた。上映会に行けば、機材を興味深そうに見る小学生や、懐かしの機材と映像を見て涙を浮かべる年配者もいる。その度に、「映写機とフィルムがある限り、続けよう」と静かに思っている。
|
|
|
|
|
|