県消防操法大会に出場する座間市消防団第3分団の指揮者を務める 高波 貴志さん 栗原中央在住 34歳
「使命感」から「生きがい」に
○…20歳で入団して以来、消防団最優先の生活を送ってきた。理想は高く、自分に厳しく。ついたあだ名は「ミスター消防団」。7月30日に県消防操法大会を控え、2日に1回は訓練で汗を流す。「座間初の全国」への重い期待が双肩にかかるが、「練習通りにできれば、きっと勝てる」と自信を見せる。市消防団の先輩たちが未だ手にしたことのない全国への切符を前に、胸は高鳴るばかりだ。
○…来年に創業40周年を迎える、さがみ野の蕎麦屋「寿美吉」の2代目。何かに熱中すると突き詰めたくなる性分で、天ぷらの調理法も「かなり研究を重ねた」とか。調理場には常に消防無線が流れており、火災発生を告げるサイレンを耳にすると、即座に身体が反応。「時には調理中に親父とバトンタッチして飛び出ていくこともあって……。家族の理解があってこそ、ですね」と口元を緩める。
○…これまでに4つ全てのポジションを経験し、ついに全体を監督する「指揮者」に任命された。訓練はもちろん、火災現場での経験も群を抜く。出動回数は14年間で200回以上。人よりも多いのは、第3分団担当地域だけでなく、近隣や隣市の火災にも駆けつけるからだ。「本来は担当エリアで起こった火事に対応するのが役目。でも、命の危険にさらされている人がいる以上、できることはやるべき」。まるで少年のように興奮を隠さず語る様からは、計り知れない情熱が感じられる。
○…その情熱と実力を買われ、2月には全県で3人のみ参加が許される「幹部候補中央特別研修」のメンバーに。気づけば運営する側の視点で団を見ていた。一番の課題は、団員の確保だ。「自分たちが懸命に動けば後からついてくる者もいる」。県大会メンバーのうち、学生2人は消防士を志しているという。「いかに若い世代の憧れになるか。これも一つの課題ですね」。地域に次々とその足跡を残し、更なる高みを目指す。
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