ざま市民朝市生産者連絡会の会長に就任した 加藤 武さん 栗原在住 72歳
実り多き日々生きる
○…「農業は、10年やっても20年やってもまだまだ1年生みたいなもんだからさぁ」。黒く焼けた目じりにしわを寄せ、快活に笑ってみせる。先代が戦前に開墾したこの土地で、15歳の時から農業に携わってきた。同じ土に同じ種を植えても、育てる人によって収穫量は数倍差になることもあるのが「農業」。土を肌で感じ、野菜を知るには生涯あっても足りぬ程だ。
○…トウモロコシやキュウリ、ニンジンにゴボウ。丹精込めた野菜たちの一部は市内11の小学校に届けられ、収穫した日に子どもたちの給食として提供される。ほかにもJAやスーパーなどに持っていくと、4人がかりで収穫・袋詰めした野菜もほとんど手元に残らない。「安定して供給するのは中々大変。でも、待ってくれている人たちがいるからね」。品質や規格にも安定が求められる一方で、天候や環境は常に不安定で予測不能。全てをクリアするのは、至難の業だ。
○…ずっと支え続けてくれた妻と息子夫妻、そして幼稚園児の孫と暮らし、繁忙期は総出で作業にあたる。息子は元サラリーマンで、農業歴は「まだ」10年。「野菜に関する知識はまだまだだけど、若い人間が1人増えると本当に助かる。一緒じゃなかったら、続けられていたかどうか」と歯を見せる。最近は若い夫婦に畑を任せ、数日旅行に出かけることもあるという。
○…月に2回は仲間と市役所広場に集まり、「ざま市民朝市」を開く。日ごろの仕事とは違い、消費者と直にやり取りをできる貴重な機会だ。6月には主催する生産者連絡会の会長にも就任し、より一層の熱が入る。そんな朝市も、初開催から丸10年。初期と比べると、来場者の数も段違いに増加した。最近は年長の孫が一緒に来てくれるため、朝市が特に楽しみなのだという。「仲間がいて、家族がいて。楽しいですよ」。苦労も多いが、それ以上に実りも多い。そんな日々を送っている。
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