「振り込め詐欺撃退プロジェクト」に取り組む(一社)シニア消費者見守り倶楽部の代表理事 岩田 美奈子さん 相模が丘在住
新たな使命に向け疾走
○…小売業界のトップランナーとして全力疾走してきた。話題をさらった巨大アウトレットモールの立ち上げに30代で携わり、異例の女性支配人に登りつめた。会議では壇上に上がるだけで、世界各国の同僚がその功績を称えてスタンディングオベーションを送った。家には寝に帰り、アクシデントには泊りがけで対応。家庭のことは夫のフォローに頼ることも多かった。そんな時ふと振り返ると、今まで向き合えなかった娘たちの姿が目に映った。
○…「このままじゃダメだ」――。せっかくなら社会の役に立てる仕事をと、消費生活相談員に転身。大学院でカウンセリングを一から学び、詐欺被害に遭った高齢者の心理に関する学術発表で日本心理学会から「特別優秀発表賞」を受けた。昨年末には(一社)シニア消費者見守り倶楽部を創設。入口から詐欺を防ごうと、自動アナウンス付き通話録音機を無償貸与する事業を思いついた。必要経費は約50万。WEBで出資者を募る「クラウドファンディング」を通じ、7月6日に目標額が集まった。
○…事業を行うに当たり、これまで仕事や研究等を通じて知り合った人々にも協力を仰いだ。「ご無沙汰してしまっている人にも快くご協力頂けて。今回の事業はこれまでの総決算かな」。家庭と仕事のバランスに悩み、暗いトンネルの中にいるような時期もあったが、ここにきて靄が晴れ、少しずつ光が見えてきた。
○…今は、家族と過ごす時間の大切さを噛みしめる日々。出資者への返礼品の手ぬぐいは、長女のデザインによる物だ。次女も、自分で定めた進路に向かって大学で勉強中。「今が一番充実してるかも」と晴れ晴れとした表情で語る。「大変な時期もあるけど、諦めず相手を信じ続けることが大事」。見守り倶楽部の活動も、まだまだスタートしたばかり。横のつながりで様々な角度からシニアライフを支える体制を、座間で形成するのが次の目標だ。
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