八王子市は17日、学童保育所の待機児童に対する新しい取組みを発表した。市内の待機児童は2012年度の49人から今年度は370人と4年で7倍超に増加。時間を要する施設整備に先駆けて教室を利用した対策を行う。
市では、これまでも定員拡大に取り組んできたが利用者の増加に追い付いていない。今年度4カ所整備して定員を200人増やす予定としているが、1年ほどかかるので先行して教室の利用を決めたという。
今回の対策は、待機児童数が多い13の小学校の教室を利用して行う。学期中は放課後から午後5時まで、夏休みなどの三季休業中は午前8時30分から午後5時まで教室を提供する。見守り要員も配置する。学童の定員が増えるわけではないので待機児童減少にはつながらないが、放課後に行き場所のない子どもたちの安全な受け入れ先として実施するという。時期は未定だが、市としては需要が高まる夏休み前には開始したいとしている。
保育所より多く
市では昨年度から学童と保育所の待機児童数が逆転した。保育所の待機児童数は14年度の231人から15年度には144人、今年度は139人と減少。一方、学童の待機児童は2012年度で49人。以降、98人(13年度)、193人(14年度)、327人(15年度)と大幅な増加が続いている。
保育所で待機児童の増加が問題となった頃の状態が、現在では小学校の学童で起こっている状況だ。市の担当者によると「保育所の場合、最寄の施設が定員であっても、親が車で送り迎えして別の施設に通わせることも可能。学童の場合は、低学年の小学生を1人で歩かせるわけにはいかないので、定員を増やすしかない」と話す。
運営NPO「午後5時以降も」
市内で6か所の学童や3か所の放課後子ども教室を運営しているNPO法人からまつ(川口町)の佐藤英二理事長は「急に学童に入る子が増えてきたのは実感している」と説明する。
「小学校に入ったばかりの子どもはこの間まで幼稚園児だった。一人で留守番ができるとは限らない。核家族化や共働き、兄弟が少ないなど、子どもが1人になりがちな状況がある。地域でバックアップしていかないと」と話す。
「市の別の施策として放課後子ども教室もある。それでも、午後5時(冬場は午後4時)まで。その時刻までに仕事から帰宅できない親も多い。親が家に帰ってくるか、迎えに行くまでの時間を何とかする必要がある。今回の市の取組みも午後5時まで。市民センターなど市の施設を午後5時以降も開放するなど、子どもたちの安全のために、もっと踏み込んだ対策が必要では」
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