全国的に減少傾向にあるというツバメ。糞被害の問題等があり「人が巣を落とす(撤去する)」ケースも増えているそうだ。そんな中、高尾駅では駅舎に2年振りの営巣が確認された。場所は北口の正面階段の上。駅では「飲食店等のそばであったら衛生上の心配はあるが」ということで今回撤去はせず、利用者に注意を呼びかけながらツバメ親子を見守る方針だ。
共存の象徴
ツバメは春になると、南の国から渡ってくる。古くから人と自然との共存を象徴する野鳥と言われている。関東の駅100選にも選ばれている、趣ある駅舎でおなじみの高尾駅には5月上旬、2年振りに営巣があった。
6年間勤める駅員によると、何年も前から駅舎に営巣する傾向があった。「かつてはよく(切符販売機や売店のある)構内に巣を作っていた」という。また「ツバメの来ない駅はあまりないのでは。大きい駅でもよくある」とも。
一方、駅利用者に「糞の被害がないわけではない」という。駅では3年ほど前、巣の20cmほど下に「糞受け」を造作して対応した。
ツバメは基本的に前年と同じ巣に戻ってくる習性があるというが、翌年(2014年)は来なかった。
専門家は「糞受けが天敵であるカラスを停まりやすくしてしまったのでは」と分析。また「ツバメは下が見えないと不安らしい。地面に近いと勘違いする」と説明する。
巣作りし辛く
全国的にツバメが減っている原因は農業の衰退による餌場となる水田や耕作地の減少、巣作りに適した日本家屋の減少などが背景にある。高尾駅などの都市部(市街化区域)では「ツバメの子育てが困難になっている(巣立ちヒナが少ない)」ともいう。なお、ツバメなどの野鳥は法律により保護されており、都道府県知事の許可がなければ、卵やヒナが中にいる巣を落とすことは禁じられている(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)。
「よく似合う優しい場所」
15年、ツバメは駅に戻ってきた。駅舎と連なってあるカフェ付近に営巣した。そして今年は駅舎に巣を作った。
巣の場所は人の往来が多い正面階段の上。が、幸い手すりの上にあり、手すりが妨げとなり人が巣の真下を歩いたりすることは少ない。駅ではコーンを設置し、「糞の落下」に注意を促している。「衛生上、気を使いますが『福を呼ぶ』ともいうので良いのでは。生き物ですし」と駅員は話す。ツバメの観察を続ける駅周辺の住民は「高尾駅は木造で大き過ぎないから行き交う人の顔がよく見える。駅員さんも売店の方も優しい。人が優しい気持ちになれる駅だからツバメがよく似合う」と話す。駅では巣立つまで子育てを温かく見守っていく。*参考資料/公益財団法人日本野鳥の会「消えゆくツバメをまもろうキャンペーン」
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