都内初の道の駅としてオープンした「道の駅八王子滝山」が4月、10周年を迎えた。観光客獲得を最優先とする地方の道の駅とは異なり、地元農家の販路拡大を目的に開設された「滝山」は地産地消を果たす「都市型」道の駅として地域に根付いてきた。
2007年4月1日、市内農家の販路を広げることなどを目的に、都内初の道の駅として開設した同施設。周辺に農家が多く、広い敷地面積をとれることから、場所は滝山が選ばれた。ダイコンやトマト、ハクサイなどの地元で採れた旬の野菜販売を中心に、それら八王子野菜を味わえる飲食ブースを設けるなどして集客を図り、毎月施設内で行われるミニコンサートなどの催しは、観光スポットとして人を集める理由となっている。
4月に施設の代表者「駅長」に就任した田中朋夫さんは「新鮮でおいしい地場野菜を提供し続けてこられたことが10年の節目を迎えられた要因だと思う。地元農家の皆さんのおかげ」と目を細める。
市内農家の「優良顧客」に
「道の駅ができたおかげで出荷量が増え経営がより安定するようになったと、八王子の農家はみんな感謝しているよ」。こう話すのは、小比企町の農家・中西忠一さんだ。「野菜の直売所をつくってほしい」という市内農家の要望に市が応える形で開設された「滝山」は、今や市内農家の「優良顧客」のひとつになっている。「道の駅という安定的に出荷できる場所ができたことで、息子に農家を継がせることができた」との声も聞かれる。
また、八王子市民にとって「滝山」は、大手スーパーでは手に入りにくい地元野菜を手軽に購入できる場となっているようだ。初年度から施設の指定管理者として「滝山」を見守ってきた株式会社ウェイザが16年11月に行った調査によると、来場者の4割以上を八王子市民が占めた。「『滝山』は、観光客獲得を最優先とする地方の道の駅とは異なり、地産地消をより果たせる都市型の道の駅としてのあり方を示すことができたと思う」と田中さんはみる。
来場者は減少傾向
ただ、来場者は減少傾向にある。八王子市によると、13年度の100万867人から2年連続で減少し、15年度は13年度の約1割減となる90万4411人の来場にとどまった。その要因のひとつに挙げられるのがマンネリ化だ。市税で運営する施設だけに大幅なリニューアルを実施できず、「目新しさ」を生み出せないことが客離れを引き起こしている。
そのため、ウェイザは今年度から、「北海道フェア」のような他地域の特産品を集めた催しを積極的に実施するなど、市内外に「これまでにない魅力」をPRしていく方針だ。また、八王子市は市制100周年イベントと連動させて『滝山』をPRしていく考えをもっている。「来場者が増えれば、地元野菜の売上も上がる。ソフト面を充実させていきたい」と田中さん。
節目を迎えた「滝山」は更なる成長に向けた変換期を迎えている。
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