子育て世帯に、市内企業らがそれぞれの「見守りサービス」を提供し支援する「八王子市子育て応援企業」制度が始まって10年。参加企業は4月20日現在、184事業所(103団体)まで増加し、企業の「見守り」意識向上に貢献してきた一方で、サービスを受ける側の子育て世帯への浸透は不十分なようだ。
同制度は、子育てや子どもが自ら育つ「子育ち」に対する市内企業の支援を促進することを目的に2007年10月にスタート。保育施設や教育機関などを除いた市内企業や店舗が対象で、子育て世帯限定の来店特典やキッズコーナーの設置、育児中社員の環境整備など、それぞれの業態に合った「見守りサービス」をつくり、市の審査を経て登録される。
応援企業となった事業所は「見守りサービス」で子育て世帯を支援し、市が作成する子育てに関するガイドブックへの掲載や、制度のシンボルマークを自社の販促物などに使用し「応援店」としてPRできるメリットがある。応援企業は4月20日現在、184事業所(103団体)まで増え、子育て世帯に対する企業の「見守り」意識向上につながっている。
市内5カ所の販売センターに企業内保育施設を併設していることを「登録」している飲料販売を行っている西都ヤクルト販売(高倉町)では「登録」後、育児中の社員に対するサポート体制が進んでいったと、自身も20年前に同社の保育施設を利用していた大津博子さんは話す。「私の頃よりも、今のお母さんたちは子どもの学校行事などに参加しやすくなっている。応援企業となったことで、働く母親をサポートするという会社の考えが一層社内に浸透してきた」という。
一方で、サービスの受け手である子育て世帯への浸透は不十分なようだ。市は、子育てガイドなどの市の発行物で同制度の周知を図ってきたものの、中学生の子どもをもつ谷野町在住の主婦は「名称は聞いたことはあるが、どのようなことをやっているのか具体的なことは分からない」と困惑気味に話す。
そのため、顧客サービスの一環として制度を利用している企業では加入のメリットを感じられないでいるところが少なくない。
来店した子育てママにネイルサービスを提供することを「登録」している大和田町・ホンダカーズ八王子東大和田店では、このサービスの利用者はこの5年間でゼロ。子育てに関する情報交換の場の提供を打ち出しているある子ども向けスクールの運営会社も問い合わせが少なく、応援企業からの脱退を検討中だという。
市内を中心に子育ち・子育て支援活動に取り組み、応援企業にも加入している市内建築事務所「楓設計室」の加藤陽介さんは「私たち応援企業が市内の様々な子育てイベントに協力したり、独自の子育て応援をしっかりと行っていくことが、制度の周知や応援企業の増加につながっていくと思う」としている。
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