梅雨の季節に入り、台風など水害への注意が必要となる時期を前に八王子市内ではその対策が進んでいる。
八王子市は現在、過去最大と言われた昨年10月に起こった台風19号の教訓をもとに防災計画の見直しを進めているところだ。なかでも重要となるのが避難所に関する課題の解決。19号では当初想定していた避難者数を超えたことから急遽、避難所を増やし混乱を招いた反省から風水害時の避難所の数について新たな定義の検討を始めている。
また、台風はある程度発生が予測できることから、被害の少なそうな知人宅へ避難したり自宅の2階で待機するなど、災害時に「避難所を使わない」選択肢もあることを今後呼びかけていく方針という。「ケースによっては自宅で待機した方が危険が少ないこともある。広く広報していきたい」と市の担当者は話す。
一方、避難所運営の新たな課題として挙げられるのが新型コロナウイルス感染拡大の恐れがある「3密」状態の回避だ。市はその防止策の一つとして避難スペースの拡大を挙げる。現状、学校の体育館を避難所と定めているが、今後は他の教室も使えるようにし人の集中を避けていきたいのだという。「これから各学校に相談していく予定。早急に対応したい」
セント・ベル幼稚園
地域でも対策が進んでいる。その一つの事例が並木町のセント・ベル幼稚園だ。
大規模災害時に電気や都市ガスなどのライフラインが寸断された場合でも「自家」で電気やガスをつくり使用することができる「災害対応型LPガスバルク供給システム」を園舎の新設に合わせ今年設置。台風や近くを流れる浅川の洪水などに備えた。
「もちろん、水害だけでなく地震など災害全般に対応できるようになっています。地域の避難所としても活用して頂ければと思います」と鈴木玲央園長。周辺の「並木町1丁目町会」とは災害時に幼稚園が住民の避難所となることを示した協定を先ごろ結んだのだという。
小沢かずひろ町会長は「ありがたいこと。いざという時にすぐ開放してくれるという。建物も綺麗でみんな大喜びですよ」と笑顔をみせている。