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集合住宅歴史館 3月末で閉館 石川町から北区へ

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掲載号:2022年1月13日号

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集合住宅歴史館の外観。この中に、昭和30年代を中心とした集合住宅が復元されている
集合住宅歴史館の外観。この中に、昭和30年代を中心とした集合住宅が復元されている

 石川町にあるUR都市機構の「集合住宅歴史館」の閉館が昨年、発表された。今年3月31日で閉館し、都心へ移転する。集合住宅の歴史と技術の変遷をたどれる施設として1998年、都市整備公団総合研究所の一部として開設された。閉館を前にその様子を紹介する。

 同館はおもに、昭和30年代の集合住宅などを移築復元している。家具などはあまり置かず、当時の建物の様子を垣間見える。

DKの始まり

 昭和30年代の中層集合住宅「蓮根団地」は、日本住宅公団(現在のUR)発足当時の代表的な住宅だという。戦後の住宅不足解消を目的に大規模団地を作ってきた組織だが、同時に新しい生活スタイルの提案も行ってきた。その1つが「寝食分離」のプラン。それまで、1つの部屋が、ちゃぶ台を出せば食事場になり、布団を敷けば寝室となってきた日本の家。それに対して「寝る場所」と「食べる場所」を分ける欧米風の生活習慣をとりこんだ。今では珍しくない「ダイニングキッチン」という考え方だ。

 なお、当時のダイニングキッチンは住宅の中での一等地である南面に配置されていることにも注目したい。これは現在のように換気扇で「機械換気」ができなかった当時、料理で発生する匂いや煙を排出しやすくする意味もあった。現在の家屋では、キッチンはおうおうにして陽あたりの悪い北側に配置されるが、当時は明るいダイニングキッチンが家の主役だった。

当時のタワマン?

 同じく昭和30年代の「晴海高層アパート」は、将来的に住居の規模可変性も持たせた架構方式を採用し、従来の寸法にとらわれない畳など先進の造り。トイレは洋風便座だった。家賃は1万2000円前後(広いタイプ)で、当時の大手商社の新卒初任給ほどの額で、憧れの的だったという。

 3・6・9階にのみエレベーターが止まり、それ以外の階に行く際は階段を使う。これによって、共用廊下のない非停止階の通風採光を確保。なお、同館正面中央付近にある円筒状の建物は「2階に行くための階段」という。

専用庭付き

 同じく昭和30年代の低層集合住宅「多摩平団地テラスハウス」は、外観も含めて修復。低層で構造上の制約が少ないため、各種の工法が模索された建築でもあるという。

 間口はわずか4メートル。しかしながら南面の専用庭は奥行き9メートルを確保。キッチンはステンレストップの流し台を採用している。

戦前の同潤会

 戦前の「同潤会代官山アパート」(昭和2年竣工)も復元されている。当時まだ珍しかった鉄筋コンクリート造。これは関東大震災の教訓を受けてのもの。共用施設の食堂や銭湯もあった。

 集合住宅は戦後の住宅不足から始まり、高度経済成長期には都市部への人口集中に対応してきた、短期間で大量の住宅を供給するための合理化の歴史でもあった。そういった歴史の側面に触れることができる貴重な施設でもある。

今後の予定と見学方法

 同館は3月31日に閉館した後、約1年の移転作業を経て北区赤羽台に移転する。

 閉館前の現時点では見学可能で、受け付けは祝日を除く月曜日から金曜日までの午後1時30分から4時30分まで。事前予約制。見学人数は1〜5人。料金はかからない。希望者は電話(【電話】042・644・3751)またはメール(【メール】annai01@ur-net.go.jp)で申し込む。

蓮根団地。陽光が降り注ぐ明るいダイニングキッチンは、当時の家の「主役」だった
蓮根団地。陽光が降り注ぐ明るいダイニングキッチンは、当時の家の「主役」だった
晴海高層アパートは細部の作りにも手間がかかっていた
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多摩平団地テラスハウス【上】施設内に庭付きの外観も再現している【右】北面玄関側は井戸端会議の場でもあった
多摩平団地テラスハウス【上】施設内に庭付きの外観も再現している【右】北面玄関側は井戸端会議の場でもあった
同潤会の単身世帯向け物件。右手には寝台ススペースがある
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