八王子市内の秋川街道沿いに大輪の白い花を咲かせる、アジサイのような花--。「あの道この道花咲かせ隊」と称し、上川町に住む高野國利さん(77)が植栽する西洋アジサイ「アナベル」のようだ。
「咲かせ隊」はグループではなく、高野さん一人で花々の植栽や管理を担う。「一年を通してここ一帯に花が咲くようにして、みんなが見に来てくれれば」。春のサクラやハナモモ、ヤマツツジに始まり、今はアナベルやアジサイ。ヤマユリにチトニア、ブッドレア、ヒガンバナと四季折々の花が続く。「この地域をぶらり散策してもらえたらうれしい」。花を自宅で育てたいという人がいれば、持って帰ってもらうそうだ。
昔から花が好きで、40代のころ室内で種から花を栽培したことも。15年ほど前、たまたまもらったアナベルを育てることに。「アジサイは咲くまで4、5年。手間もかかるが、アナベルは1年で開花する。育てやすくて増やしやすいから」。それでも、年間を通じて草刈りや剪定などの手入れは欠かさない。秋川街道の歩道沿いをはじめ、農道や川口川の岸辺にも植栽。私有地は地権者の許可をもらいながら、花を育成するようになった。
実家が近いというこの川辺は「知る人ぞ知る道」。「この辺でよく遊んだし、ホタルもよく見た」というこの場所は、地名の「田守」にちなみ「裏田守(うらたもり) アジサイの小径(こみち)」と名付けた。近くには鎌倉古道が通り、鎌倉武将・畠山重忠が手植えしたとされる桜木があるなど、歴史を味わう要素もある。
足腰がついてこなくなったというが、午前と午後、2時間ずつは草刈りをするのが日課だ。「好きだから苦じゃない」と笑顔を見せる。「やめたいけれど(花は)増えてる。80歳まではやろうかな」。分け隔てなく、まちに元気と癒しを届け続ける。