運転経歴証明書を持つ矢野さん
気が付くと試験場に
清川町在住の矢野義衣さん（77）は６月10日、運転免許を返納した。
横山町にある不動産会社の会長を務める。愛車はクラウン。仕事を含め運転は「ほぼ毎日」していた。免許を取得して55年。無事故運転を続けていた。
その日、末っ子の次女から誘われた。「（６月10日は）１週間早いけど、父の日のプレゼントかな？」と期待した。言われるまま車に乗ると、立川方面へ向かった。しかしレストランは通り過ぎる。矢野さんは「はっ」とした。着いたのは、府中の免許試験場だった。
かかったのは、わずか15分。免許は返納され、代わりに運転経歴証明書が渡された。「はめられたー」。矢野さんは天を仰いだ。
納得できない？
５人のきょうだいが結束しての計画だったよう。その日は「妻の誕生日」などであった。「まあ、心配してくれているということがわかった。実際74、５歳の頃からバックの運転がうまくできなくなった。それは孫から指摘されて気が付きました」と矢野さん。「ただ、80歳までは乗ろうと思っていた。だから納得はできない部分もある。（免許を）またとってやる」と笑う。
現在の移動手段は主にタクシー。返納したことで妻は「ニコニコ」だそう。「持論ですが、75歳になったら一度、立ち返った方が良いと思います」
