根底に思いやり
大谷町にある大善寺で「未来墓」という新しい形の墓地を展開している田中潤さんがこのほど、「無駄の物語」(歴史探訪社)を刊行した。
田中さんは合理的に物事を進めることが良しとされる昨今の社会の中で、あえて「無駄の大切さ」を訴える。「合理的に考えるのは市場原理主義で『必ず得をしなければ』となる。何か理屈がないと動かなくなる」と、その負の側面を指摘。その上で、「人間関係を円滑にするためには無駄が大切。相手に対し無駄なこと、つまり自分の利益とならないことをしようとする思考の根底には、相手への思いやりがある」と説明する。この小さな営みを一人一人が重ねていくことで、「誰もが幸せと感じる社会」が実現すると考えている。本の中ではあいさつ、大学、俳句、居酒屋、相続など身近なテーマの中で様々な「無駄論」を述べている。「ぜひこのような考えを広めたい」と話す。
「解放される」
なお田中さん自身このような無駄についての考えを持つようになったことで「解放された感じがある。楽になれました」と話した。
定価1100円(税込)。全国の書店、Amazonなどで取り扱い。問い合わせは同社【電話】0467・55・8270へ。
田中さんは横浜市で税理士事務所を経営。一般社団法人の理事長として被災地の復興にも取り組む。