11月に明らかになった中央大学(東中野/酒井正三郎総長・学長)法学部の後楽園キャンパス(文京区)への移転計画。約6千人の学生が所属する同大学看板学部の移転は、八王子市にも少なからず影響を及ぼしそうだ。
「6千人ほどの学生がいなくなるのは市にとってマイナス。どんな学部が来るのか不明だが、学生数を維持してもらえれば」と11月の定例記者会見で話した石森孝志市長。約6千人の学生が所属する学部の移転が、市に与える影響が少なくないとみるためだ。
中央大学法学部は1978年に御茶ノ水(当時)から多摩へキャンパスを移転。同大学で最多の学生数を誇る看板学部だ。11月に発表になった同大学の25年までの中長期事業計画によると、22年までに法学部を第一候補とする文系学部の一部を移転させる方針を示している。
大学院との一体化目指す
同大学広報室は「法学部を移転の第一候補としたのは、後楽園キャンパス内にある法科大学院と一体化させることで、学生や教員の移動の負担を減らし、学習効果を高める目的などのため。体制を整えることで入学志願者へアピールするねらいもある」とし、今後の多摩キャンパスについては、留学生の受け入れを拡大するなどグローバル化を進めると共に、高齢化や福祉などの地域の課題解決にあたることのできる人材を育成するための新学部創設の考えがあるとしている。「地域の課題に取り組むのは、その街の大学の責務と考えている」と同大学広報室は話している。
背景に「2018年問題」
この移転計画の背景のひとつにあるのが、18歳人口の減少だ。90年代初頭から、大学への進学年齢である18歳の人口は減り続けてきたものの、それに反比例して大学進学率が伸びていたため、大学入学者数はほぼ横ばい状態が続いていた。しかし、18年以降はそのバランスが崩れ、志願者が減り続けるのではないかと大学関係者のなかでは「2018年問題」として対策が急がれている。
そのため、大学間の志願者確保のための生き残り争いが熱を帯びてくることは避けられず、若者に人気のある都心にキャンパスを構え、ブランド強化にあたる大学は今後も増えていくと考えられる。
市内大学と地域、企業をつなぐ活動をしている団体「大学コンソーシアム八王子」(旭町)は「大学の都心回帰の動きは全国的なもので避けられないことだと捉えている。一方で、施設を増床するなど、多摩キャンパスに力を入れている大学もある。市内の大学や学生が少しでも活動しやすいように協力していきたい」と学園都市として市の魅力を高めていきたい考えを示している。
都市・地域計画を研究する明星大学の西浦定継教授は「27年にリニア新幹線が八王子に隣接する相模原市の橋本駅周辺に停まるようになれば、地方学生の多摩地域への注目が高まると思う。各大学にはその点も考慮して事業計画を立ててもらいたい」としている。
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