4月から電力の小売り全面自由化が実施され、様々な業種の企業が事業に参入。各家庭で電気の購入先を選べるようになる。消費者にとっては、選択の幅が広がることで、生活スタイルにあわせた電気料金を検討できるようになり、事業者の用意するセット料金で割引感を得られるなど、電気の価値の選択にも焦点があたる。八王子市内で「地産地消」「自然エネルギー」といったテーマにこだわり、市民発の電力を供給している一般社団法人八王子協同エネルギー(八エネ)の活動から、「顔の見える電力」の方向性を探った。
市内で太陽光発電
八エネは2013年から市民の手で太陽光発電などによる自然エネルギーを作る活動をしている団体で、ユギムラ牧場(堀之内)、結(ゆい)の会・福祉事業所(元八王子町)、磯沼ミルクファーム(小比企町)=写真=にソーラーパネルを設置してエネルギーの地産地消を目指している。これらの設置は八王子市民によるファンドなどによって資金を調達している点で、地元市民が作ったエネルギーといえる。設置に協力する結の会の代表理事・脇田泰行さんは「空いている屋根を貸すだけでエネルギーを生み出すことができる。ソーラーパネルの見学に来る人もいるので福祉事業所としては社会との接点もできる」とその意義を話す。
八エネはこれまで東京電力に売電していたが、このほど、自然エネルギーを活用した電力の供給に力を入れている「みんな電力(株)(世田谷区)」に売電先を変更した。同社は「誰もが電力を作って自由に選べる」という電気の付加価値を掲げており、八エネはその姿勢に賛同した。サービス開始は今夏を予定しており、自然エネルギーがどの程度の割合になるかは未定。
意識変われば
八エネで現在作り出している電力は1時間あたり最大60キロワットほどで一般家庭20軒程度が使用する量だという。サービスが開始されても希望者全員が使える十分な量があるわけではなく、また実際にこれらの電力が特定の家庭で使われるようになるわけではない。というのは、送電線に乗った時点で電気は交わり、どこで作られたか明確に分けることができないからだ。ただし、自然エネルギーの発電所から購入することは、間接的に自然エネルギーを支援することにつながる。
八エネ共同代表の加藤久人さんは「どこで作られた電気であるかは書類上の話に過ぎないかもしれないが、これからは自然エネルギーの発電所を希望することが可能になる。一部は確実に自然エネルギーが使われている電力になるはず。消費者の意識向上に役立てば」と話す。同じく共同代表の田中拓哉さんは「誰がどこで作った電気なのか関心を持ってもらうことで生産者と消費者がつながる。エネルギーそのものに意識を向けることで、我慢の節電ではなく、うれしい気持ちで節電できる」と話す。
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