新型コロナ拡大を防ぐための「新しい生活様式」にあわせ、「距離をうまく保ちながら」の行動を促すＴシャツを市内の印刷会社が製作した。背面には「離れてください」という一見「温情がない」ともとれるメッセージがプリントされているが、担当者は「お互い元気でいたいので。ポジティブなイメージです」と話す。
後ろの人に「前向き」メッセージ
製作したのは千人町にある株式会社プリンテック（【電話】０４２・６２９・９２３１）。コロナ禍で様々な企業の業績が下がるなか、同社もイベント中止による印刷物の需要減などで４月の売上は前年の50％ほどだったそう。「医療従事者の方々を支援するニュースを見て、自分たちもできることがないかと考えました」。同社クリエイティブ部の川幡恭子さんは振り返る。
「新しい生活様式」に基づき「ソーシャルディスタンス」（社会的距離）を保つ動き方が浸透していく一方、世界保健機関は４月、身体的距離を意味する「フィジカルディスタンス」を推奨した。「『ソーシャル』は人とのつながりも減らしてしまう。心はつながっていられる『フィジカル』を知ってもらった方がいい」。川幡さんらはそんな「前向き」な思いを込めたＴシャツを作ることにした。
童話、童謡モチーフ
Ｔシャツについては10年ほど前から、高尾山の観光スポットで扱うオリジナルものなどを手掛けている。
デザインは当初、手を広げて距離を保つことを伝える内容だった。それに対し同部デザイナーの鈴木健太さんは「追いかけっこはどうか」と提案。「少女とウサギの絵があるだけで何の物語かわかる」ということで童話「不思議の国のアリス」をモチーフに、少女からウサギが「離れる」イラストを採用した。また、「かわいらしいものだけでなく、もっと危機感が出るものを」と、熊の案も出した。こちらは童謡「森のくまさん」をモチーフに、熊から逃げるイラストに仕上げた。
こうして「アリス」「くま」の２種が作られた。それらのイラストは「Ｐｈｙｓｉｃａｌ（フィジカル） Ｄｉｓｔａｎｃｉｎｇ（ディスタンシング）」の文字と共にＴシャツ前面にプリントされている。背面は「２ｍ以上離れてください」と後ろを歩く人へ呼びかけるメッセージを記している。
市のロゴも
また、「歩く」にちなみ市が昨年掲げたブランドメッセージ「あなたのみちを、あるけるまち。」のロゴマークもプリントされている。市からの承認を受けたもので、担当の都市戦略部によると「Ｔシャツにプリントされるのは初めて」だそうで、「上手に使ってもらいました。距離を意識して歩くことは大切。（Ｔシャツの広がりを）応援したい」と期待する。Ｔシャツは色違いなど合計12種がある。定価１８００円（税込）。販売は同社にて。野上光之社長は「Ｔシャツを通じて、街に元気を届けたい」と話した。
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
|
|
