田中選手のユニフォームをもつマネージャーの戸田敬さん。同大出身のプロ野球選手（現役含む）のユニフォームが飾られている寮にて
10月20日に開かれた２０１６年プロ野球ドラフト会議で創価大学（丹木町）硬式野球部から田中正義（せいぎ）投手がドラフト１位で５球団競合の末、ソフトバンクが交渉権を獲得し、池田隆英投手が楽天から２位指名を受けた。今回は「アマ球界No.１投手」として注目を集めた田中選手と寮で同じ部屋に暮らすマネージャーの戸田敬（さとし）さん（２年）に田中選手に関するエピソード等を聞いた。
戸田さんは９人いる野球部マネージャーのうちの１人。マネージャーの仕事は練習の準備や掃除など。89人の野球部員をサポートしている。
「でかいな」。それが「１８６cm・90kg」の田中選手に初めて会ったときの印象だ。戸田さんが投手として昨年入部したとき、田中選手は３年生。すでに「来年ドラフトの目玉」として世の中から注目を集める存在になりつつあった。
部員に栄養講座
昨年の11月からは大学敷地内の寮で、田中選手と「同部屋」で暮らしている。「とても話しやすい先輩。よく話しかけてくれるし、ちょっかいを出してくることもあります」。田中選手が野球に対してストイックなことはよく知られているが、「オフの日は面白い人です」と明かす。
戸田さんによると、田中選手はよく本を読むそう。寝る前の30分は読書の時間に充てている。スマホも利用するがゲームなどはせず、野球の動画などを見ているという。
野球部員は朝食、夕食は寮でとる。昼食は各自自由となっているが、田中選手は実家から届いた「弁当」を食べている。１日の栄養バランスを計算した「母親の手作り弁当」は冷凍の状態で１週間分などまとめて寮に送られてくる。「体を大きくするために必要な１日のタンパク質の量など考えて食べていますね」（戸田さん）
昨年秋、新チームがスタートしたときの全体ミーティングで田中選手が前に立った。「チームが強くなるためには自分だけが強くなってもダメ」と、これまで深めてきた健康管理に関する知識を披露し栄養講座を開いた。これを機に部員たちの意識は変わったそう。田中選手同様に栄養バランスを考え、実家から「冷凍手料理」を送ってもらいだす部員も現れた。「わからないことは正義さんに聞けばいい」。野球の成績だけでなく、野球に対しての真摯な心構えでもチームを引っ張る存在になっていった。
「違う人」実感
田中選手の名を世に知らしめた昨年６月、神宮球場でのプロ２軍相手のマウンド。７者連続を含む８奪三振を記録した。戸田さんは振り返る。「『人がやばかった（来場者が多くて驚いた）』と正義さんは言っていました。２人目の打者から三振をとりだし会場のボルテージがどんどんあがっていき、ものすごい雰囲気でした」。普段一緒に生活している戸田さんもこの時「（次元の）違う人だな」と実感したそう。
ドラフト後、ソフトバンクの工藤公康監督からは「来年の（エース投手が務めることの多い）開幕投手をめざして」とエールを送られた。戸田さんは「狙っているんじゃないですかね。狙ってほしいです」と、入団１年目からの活躍を期待する。
ソフトバンクから１位指名を受けた創価大学の田中正義投手
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