様々な古書店が出店する「八王子古本まつり」があす11日(金)から15日(火)まで、八王子駅北口の西放射線ユーロードで開催される。2009年のスタート以来10周年を迎え、ここ数回の来場者は5日間で10万人とも言われる。会場は市が推進する中心市街地活性化基本計画の対象エリアにあり、市街地活性課では「多くの人が集まり、まちの魅力向上につながっている」と評価する。
活性化エリア 春と秋10万人 触れる機会を
「猥雑な感じが良いのでは。色々なお店が自由に並んでいる。露店の楽しさもある」。古書店経営者で主催実行委員会の実行委員長である坂田昌子さんはそう説明する。
古本まつりは同年10月、「56万人が住む街にしては古書店の数が少ない」と古本に触れる機会を創出しようとスタートした。以来毎年春と秋にそれぞれ5日間開催しており、関東近郊から「スタイルのある」古書店が20以上出店しテントを並べる。ライブやトークイベントも企画されており、会場は連日、市内外からの来場者で賑わいをみせる。坂田さんら4人のスタッフを中心に運営している。
「古本を求めてくる人はゆっくり色々な本を探すので、この場所に滞在する時間が長い」。ユーロードにある商店会の担当者はイベントに携わる中で、そう感じている。「ずっと居てくれるので周辺店舗にも寄ることが多い。経済効果は意外と大きい」とも。
出店希望多く
最初の回はおよそ600mある会場において、駅周辺の一部にしか人が集まらなかった。そこで坂田さんらは駅から離れた「奥」の方へも足を運んでもらえるよう、「特集コーナー」の設置やライブエリア配置の工夫などをし、その課題を解決していった。ここ数年は出店やライブ出演を希望する人が特に増えており、それらの点で坂田さんはイベントの成功を実感している。「屋外なのでお店を出したりする側も楽しいようです」。一方、会場近隣にある古書店は「(出店はしないが)おかげで期間中はお客さんが流れてきて繁盛する」とその影響力の大きさを喜ぶ。
謎、初恋、もののけ…
ここまで続き、発展した要因について坂田さんは先にあげた「特集」の存在が大きいと語る。「毎回そのテーマに合った本を各出店者に用意してもらい、コーナーを設ける。その特集コーナーを楽しみに来る人が少なくない」。今回の特集は「謎」。これまで初恋、もののけ、百薬などがあり「文化的、精神的にショックを与えるような。ありきたりにならないテーマ」を坂田さんらが選んでいる。
また、ポスターにも力を入れている=中面に関連枠あり。制作は坂田さんが環境活動をする中で知り合ったウチダゴウさん(してきなしごと)に依頼。「イベントなので雰囲気が大事。センスが伝わるようなものでないと」。斬新にデザインされるポスターはコンテストで受賞をしたこともあるそう。
地元イベントと認知へ
屋内会場で実施する同様のものに比べて、開放された「屋外の通りを使って」開催するこのイベントは、古本に興味のない人がたまたま本を手に取る可能性を秘めている。このほど出版された「都内の市」を紹介する本で、開催60回を数える、あの神田の古本まつりと並び、八王子も掲載された。「最初のころは八王子の古本イベントでしたが、最近は『八王子のイベント』のひとつとして認知してもらえるようになった気がします」と坂田さんはその「成長ぶり」を喜ぶ。同課は「多くの人が参加されるイベントはまちの魅力向上、活性化につながるので開催を歓迎しています」と話した。
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