22年完成予定の拠点として期待される施設のイメージ
八王子商工会議所らが、国際会議や展示会などの誘致を目指す「マイス事業」の基本構想を練って今月で５年。昨年度は30件の催しの誘致を果たし、街に人を呼び込んだ。観光地、八王子への動きが進んでいる。
マイス事業の構想が持ち上がったのは２０１２年。商工会や市、八王子観光協会（当時）らが協議を重ね、人口減少社会を迎えるなか、その対策として街に人を呼び込めるマイス事業の採用が決定。14年12月に基本構想が固まると、17年に計画がスタートした。
学園都市、強みに
まず取り組んだのが、八王子の学園都市としての機能を生かすこと。マイス事業にあたる部門として観光協会から名称を変更した「八王子観光コンベンション協会」担当者らが市内にある20を超える大学や短大などに所属する教授らにアプローチ。他の地域で開いていた学会の一部を八王子で開催してもらうように。
また、狭間町のエスフォルタアリーナ八王子を始めとした市内スポーツ施設の充実度などを国内外にＰＲすると、17年から２年連続してボルダリング競技の国際大会誘致に成功するなどした。
コンベンション協会の田口秀夫事務局長は「17年度は11件、昨年度は30件の誘致に成功した。今後はものづくりに強い八王子をＰＲし、企業の展覧会なども呼び込んでいきたい」と話す。
「街への集客」狙う
マイス事業を通して商工会らが狙うのは、催しに合わせて訪れた人たちの市内周遊だ。今年８月、クライミング競技の世界大会をエスフォルタに呼び込み、39の国から６００人を超える選手たちが八王子にやってくると、コンベンション協会らは選手たちに市内飲食店で使用できる無料チケットを配布し、八王子の街を楽しんでもらうようにした。
「その評判が口コミとなって広がることを期待した。八王子は高尾山などの観光スポットが数多くある。観光地としてのポテンシャルは高い」と田口事務局長は笑顔をみせる。
また、旭町のタクシー会社、八王子交通事業株式会社の下田直啓社長は「街に人が集まり、市内のホテルや飲食店を使ってくれれば八王子全体が盛りがる。当社も地元企業として協力していくつもりだ」とマイス事業を歓迎する。
22年に拠点
構想立案から６年目に入った今、関係者らが必要と考えるのが、街の観光地としての意識の高まり。リピーターを増やすためにも街全体のおもてなしは欠かせないものとし、コンベンション協会らは、市内のホテルやタクシー会社などのネットワークを構築して、「オール八王子」で街にやってきた人たちをもてなす体制づくりに着手し始めた。
事業を引っ張る、コンベンション協会のマイス部門の山本通陽委員長は「そんな事業者ネットワークを来年２、３月までには構築したい。また市民にもマイスについて理解してもらい、街全体でもてなすことができるようになれば」と力を込める。
そして、関係者らが期待を寄せるのが22年に明神町に完成する予定の展示ホールの存在だ。
延べ床面積、約２千５００平方メートルで複数の会議室などを備えることから、「マイス事業のためなどに都が建設するもの。誘致の武器になる」と山本委員長は話し、「そこまでに土台を固めていければと思います」
リーダーとして引っ張る山本委員長。市内で飲食店を経営している
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協会の田口事務局長
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