不動産情報サービス業の(株)ライフルが6月28日に発表した「住みやすさの割に家賃が安い駅ランキング2022〜ファミリー編」で、八王子が1位に選ばれた。2位は町田、3位には京王八王子が入った。
駅前が充実
「どのような駅が子育て世帯に魅力的といえるのか?」という観点からの調査で、0〜14歳の転入超過数が多い東京、神奈川、千葉、埼玉の中の10市を対象とした。全体では30駅が選ばれた。
駅周辺の施設充実度の高さを、徒歩15分以内のスーパーやコンビニ、公園、文化施設、医療施設などをスコア化したものから割り出した。八王子駅周辺充実度は87・9ポイント(満点100)。同社によると「百貨店の撤退が目立った時期はあったものの、駅前の再開発が進んで新たな商業施設が誕生。西放射線通り商店街をはじめ、昔ながらの商店街も多く残る点」が評価された。中でも医療施設数スコアは関内(横浜)に次いで2位だった。
「京八」は3位
この値を基に「これだけ住環境が整っていれば、このくらいの家賃が妥当」という「理論家賃」と実際の平均賃料を比べると、八王子は41・8%となり、家賃相場の半額以下で借りられる評価に。2位の町田は42・8%で、3位の京王八王子は50・4%だった。
東京都宅建協会八王子支部に所属する(株)エスエストラストの杉本浩司社長によると「都心から移り住む人は、八王子の家賃の安さに驚く」という。「吉祥寺や高円寺、三鷹のようにオシャレではないが、生活する分には引けを取らない充実度。鉄道でも車でも移動しやすい」と八王子の魅力を説明する。一方で、「家賃が高いと住んでくれない」とも指摘する。
飽和で低家賃に
八王子の評価について、全日本不動産協会東京都本部多摩南支部に所属するグロブナー建物管理(株)の谷合ひろよ社長は「物件が飽和状態のために家賃が安いのではないか」と指摘。「企業の撤退や少子化によって、企業人や学生用の物件が空いてしまっている」。加えて、駅周辺にマンションが増えて供給過多になっていることから「必ずしも喜ばしい状況ではない」と危惧する。
「商業が順調に発展していれば、住居用物件の入り込む余地はなかったかもしれない」という見方も。「八王子が少しずつベッドタウンに変わっていく過程で、今だけが『繁華街と住宅が近い上に家賃が安い』状態」との評価もあり、住まい選びにおける判断材料の一つになりそうだ。