市内で、防犯や地域活性化を目的とした官民連携の動きが進んでいる。
先月14日には、高尾警察署と乳酸菌飲料小売卸売業の西都ヤクルト販売株式会社(高倉町・中川喜博代表取締役社長)が連携強化を図り、協力して防犯活動を進める内容の覚書を締結。高尾署がオレオレ詐欺をはじめとする特殊詐欺などの犯罪防止を訴えるチラシをヤクルトに提供し、個人宅への商品配達業務を行う同社がそのチラシを顧客に手渡し、防犯を呼びかけることが活動の柱となる。「特殊詐欺が増え続けていることを聞き、協力を申し出た。チラシを配布しただけでは見てもらえないことが多いそうだが、当社スタッフが対話を通して声をかけていけば伝わりやすいと思う」と中川社長は力を込める。
市は初の協定締結
一方、八王子市は先月、コンビニ最大手セブンイレブンを運営する株式会社セブン―イレブン・ジャパンと株式会社イトーヨーカ堂、多摩信用金庫と連携を深めて地域活性化に取り組む包括連携協定を結んだ。市が民間企業と地域活性を目的とした協定を締結するのは初めてで、「セブンイレブンさんには、これまでも高齢者の見守りなどに関して協力頂いていたが、他の分野でも連携のメリットがあると考え、イトーヨーカ堂さんを含めて話し合いを進めてきた」と市担当者。
今後、セブン、ヨーカ堂は、店舗スペースを提供するなどして、市の観光や市制に関する情報発信に協力していくほか、町会や商店会などが行うイベントへの支援、貸出図書の返却ポスト設置などの検討を進めていく方針だ。
また、多摩信金は市内16の店舗網を生かし、市内中小企業の経営サポートを市と連携しながら進めていく取り組みなどの計画を立てている。セブン・西東京ゾーンの飯沼一丈ゾーンマネージャーは「今年100周年を迎えた八王子を共に盛り上げていきたい」と話す。
地方創生策 きっかけか
ではなぜ今、官民連携が進むのか――。地域経済に詳しい中央大学経済学部の八幡一秀教授は「2014年に政府が地方創生を打ちだし、自治体に地域を活性化させる力が求められるようになったことが要因のひとつになっているのでは」とし、自治体がそのアイデアを民間に求め、企業は行政と連携することで消費者からの信頼を深めるメリットがあることからウィンウィンの関係ができ、連携が進むのではないかとする。
「重要なのは、連携を結んだ後、どのような結果になったのかを常に行政がチェックし、いかに次につなげていくのかを分析していくこと。そうしなければ意味のないものになってしまう可能性がある」としている。
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