西放射線通り商店街振興組合の理事長で、7月に私小説を出版した 前野 博さん 旭町在住 72歳
○…学生時代から50年越しの夢がかなったといえる。八王子空襲経験者であった母をモデルにした主人公の人生を描いた。ユーロードに面する商店などからなる組合の理事長を務める傍ら、1日に2時間ほどずつ、3年かけて341頁を書いた。途中筆が止まる時期もあったが、「今やめたら絶対に書けない」と自分を鼓舞した。歴史を調べ、知らないことを知ることで、それまでは見えていなかった情景が浮かぶことがあった。「小説を書くことは、自分を見つめること」と話す。
○…生まれも育ちも八王子。辛くても「もっとやれ」と声をかける中学の先生の教えが今も残っている。学生運動真っただ中の大学時代は読書や麻雀に没頭した。様々な小説を読むうちに、知人から着想を得て身近な主題で自ら書くように。卒業後は実家の菓子屋を手伝い、洋菓子チェーン不二家の店主となる。早朝から晩まで働いた。
○…理事長になったのはバブル崩壊直後。昨今では当たり前のイベント開催だが、当時商店街では行われていなかった。そんな中、「街全体ににぎわいを与えたい」と、それまでなかった「アート」や「芸者」が登場するものを始めた。不慣れなころは、行政や警察の許可を取ることに苦労したが、やり終えた時にはいつも達成感があった。
○…人通りが多く、イベント時、点字ブロックが隠れてしまうこともある。そうならないよう、影で常に注意を払う。「鳥の目」のように俯瞰する洞察力は、毎年大忙しだった不二家時代のクリスマスケーキ販売で培ったそう。イベントにかかわる様々な世代の声を取り入れることが課題だが、今後は特に若者たちを支えたいと話す。「のんびり散策して買い物などが楽しめるような通りになってほしい」
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