貧困対策や地域交流として、無料もしくは安価で食事を提供する民間の活動「子ども食堂」。市内では3度目の緊急事態宣言の中で活動を模索するところもある一方、団体数は増加傾向にある。関係者は「社会性を育てるため必要」と話す。
情報交換などを行う「八王子食堂ネットワーク」に登録している市内の子ども食堂は現在23団体。昨年度で5つが新規で立ち上がるなど増加傾向だ。ただ昨年、緊急事態宣言が発令されて以来、「3密回避」が難しいことなどから、「感染源になってはいけない」と多くの食堂が開催を中断。必要な人に対する「食料配布」に活動をシフトしている。
再開?それとも
その1つで市内で活動する「ほいっぷ食堂」代表の坂本洋子さんは「新年度から『食堂』を再開させようと思っていた矢先(今年4月25日)の緊急事態宣言だった」と話す。「コミュニティ食堂」として、子どもだけではなく、孤食を防ぐことを目的に高齢者も対象としていた。「食堂が停止して1年ほど。以前、よく来ていたお年寄りはどうしているだろう」と心配する。
宣言より前の4月21日、3カ月ぶりの「食堂」を開催した「すまいるカフェ」(散田町)の代表・石黒尚美さんは「開催できて良かった」と話す。給食と同じく向かい合わずに会話をせずに食事をし、宿題などで長時間滞在しないようにするなど対応をしている。「子どもにとって、他世代とも触れ合える大切な場所」。宣言が明ければ再開を考えている。
一方、課題も
昨年度まで「食堂ネットワーク」の事務局を務めていたフードバンク八王子の川久保美紀子さんは「コロナ以前とは比べ物にならないくらい寄付が増えた」と話す。「コロナは辛いことも沢山あったけど、子ども食堂が多くの人に意識を向けてもらえた」と話す。近年の地域関係の希薄化で「子どもは昔よりも狭い世界で生きている。社会性を育てるためにも子ども食堂は必要」と訴える。一方で、「食料配布」は食堂にとっての負担が大きいとも。「貧困世帯ではない子ども(や大人・高齢者)が集まることで、結果的にその中にいる本当に支援が必要な子を手助けすることにつながっていた」。食堂の場では誰が貧困なのかわからない。だから食堂側もこれまでは直接、貧困問題に接することはなかった。ところが食料配布を受けに来る人の中には、本当に困っている人もいる。「だから食堂を再開しても、食料配布を辞めるという選択肢がとりにくい」
「必要とする人のため」
4月24日には新たに北野駅の近くで「子ども食堂カフェ北野」が開催された。不動産店の社長・青木徹矢さんの父親がオーナーとなり、店舗のスタッフも手伝う。「会社は地元密着を謳っている。仕事以外でのアプローチです」と青木社長。1カ月前から準備をしており、緊急事態宣言直前ながら開催した。2回目は5月8日を予定したが、宣言期間中のため中止にした。「緊急事態宣言とはいえ、必要としている人はいる」として、食料配布は検討中という。
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