市北西部に位置する市立上川口小学校(上川町/島田金男校長)が今年度、開校140周年をむかえ、11月21日(土)に記念の式典を開催する。開校は1875年(明治8)で、日本で最初の近代的な学校制度である学制(1872年)の元に誕生した歴史を持つ。
「明治8年と言えば、『花燃ゆ』の時代。その頃からずっと続いてきている。こんな小さな村だったが先人たちの教育への思いは相当なものだったはず」。140周年の実行委員長を務める秋山勝男さん(77・上川町在住)は、感慨深く話した。1976年に発行された「百年のあゆみ」(創立百周年記念事業協賛会発行)によると、上川地区には安政年間(1854〜1860)にはすでに私塾があり、千人同心(江戸時代の幕臣集団)の流れをくんだ人格主義的な内容の教育がされていた。
1872年(明治5)に学制が発布され、75年、上川口学校(現上川口小学校)が誕生する。当時、まだ校舎はなく、大仙寺(上川町)を借りて開校した。教員は1人で、児童は44人(男41・女3)。授業では漢字の書写や、写本をしていたという。なお、当時八王子(第一大学区第八中学区)には、すでに同校を含め34の学校が設置されていた。
同校の校舎はその後、何軒かの民家を借りたのち、1890年(明治23)、現在の地(上川町1099番地)に建てられることとなる。
「あゆみ」に記載されている明治期卒業生の座談会では「先生は厳しくムチを持っていた」「今でいう教材のようなものと言えば石板(雲母)、石筆で鉛筆などは試験のときだけ配られた」「弁当はさつまいもなどが主で、弁当箱は竹の子の皮だった」と当時の記憶があった。1976年、創立100周年の式典に携わった久保喜一さん(85・上川町在住)は「自分が通っていた時は1、2年生が一緒の学級だった。100周年の前年に、今の校舎へ建て替えた。その時1年生が2学級になると聞いて嬉しかった」と振り返る。なお現在の児童数は50人。「例え少なくなっても、ずっとここにあってほしいね」
手づくり衣装で
記念式典では同校の名物「上川子ども獅子」の披露がある。この獅子舞は7年ほど前に誕生したもの。学校周辺の今熊神社(上川町)、田守神社(同)にはそれぞれ獅子舞があり、地域住民が「ぜひ子どもたちにも」と学校に打診。双方の保存会の協力を仰ぎ、創作された。獅子舞は全校児童が参加し、運動会や地域の行事で演舞されている。
今回は式典を迎えるにあたり、ボランティアが児童の衣装を製作。各家庭から集めた浴衣を生地に、5人のスタッフが3日がかりで全員分を縫った。島田校長は「このように地域の方々に支えられているのが同校のひとつの特徴。これからもいい所として残していきたい」と話した。
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