市北西部にある緑地「上川(かみかわ)の里」で7月、初めての催しが行われた。「やまゆりフェスティバル」と題したイベントには9日間でおよそ350人が来場。メインの15日は様々なステージが展開され、賑わいをみせた。実はこの地は9年前、産業廃棄物処分場になる計画が持ち上がった場所。地元住民の力で「守った里山」であり、イベントの開催は住民らにとって、ここ数年間の大きな目標だった。
「感謝の気持ちを込めて企画しました」。里山を見守り、上川の里づくり運営委員会の会長を務めた高野誠三さん(上川町在住・69)は笑顔で振り返る。
里山は、かつては田んぼが広がっていたが、20年ほど前から使われなくなっていた。「荒れた」状態が続いていた時、「産廃処分場建設」の話が飛び込んできた。
「何とか守らないと」。地元3町会では2008年、反対同盟を結成。集会を繰りかえし、400人近くで周辺の秋川街道をデモ行進するなどした。
それらの活動の結果10年、業者は建設を断念。市は11年、用地の一部を買い上げ特別緑地保全地区とした。その後、町会では上川町緑化保全等対策実行委員会(現・上川の里づくり運営委員会)を組織し「里山を維持していく」体制を整えた。毎月環境整備の日を設け、草刈りや道の管理など、保全を続けている。
「戻って良かった」
保全活動をする中での励みの一つとして「イベントの開催」を企画した。「たくさんの人が集まる場所になれば」と夢を描きながら、市制100周年にあたる17年の開催をめざし15年から準備をスタートした。
イベントにむけ「やまゆりの里」という「ご当地ソング」も制作した。地元住民が作詞を担当し、里山に咲くやまゆりを「大事に育てよう」と呼びかける。フェスティバル当日は創作ダンスをバックに、町会長が夫婦で歌い上げた。
「当初は自然公園になればと思っていましたので、そこに至らず残念な部分はありますが、自然が戻って(公有地化されて)良かったです」と高野さん。一昨年トイレが設置され、この春には木道が整備された。今後は市民が里山の仕組みを体験・学習する場や、ハイキングなどレクレーションの場になればと考えている。
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