打越町出身で、東中野を拠点とする中央大学学友会サッカー部に所属する矢島輝一(きいち)さん(22・FW)のJリーグ1部・FC東京への入団が13日、発表された。矢島さんは「FC東京の選手になるという、小さな頃からの夢が叶いうれしい。家族など、お世話になった方々に感謝の気持ちを伝えたい」と話している。
186センチの長身と身体の強さを生かし、自ら得点をあげるだけでなく、相手ゴール前で攻撃の起点となり、味方のゴールをアシストするプレーも「強み」とする万能型ストライカーの矢島さん。
昨シーズン、得点不足に泣き、18チーム中13位と低迷した「東京」で、来季の上位進出の鍵を握る存在として期待がかかる。
現役時代は矢島さんと同じFWで日本代表だった中大の手塚聡監督は「足元のボールの使い方が優れているので、バランスを崩した状態から相手の予測不能なシュートを打ち、得点をあげることができる選手」と矢島さんを評し、新天地では1試合でも多く試合に出場し、1点でも多くゴールを決めてもらいたい、と檄を飛ばしている。
サッカーでは「負けたくない」
根っからの負けず嫌いだ。小学校時代(由井第一小)に所属した「八王子CBXフットボールクラブ」では、その「武勇伝」が多く残る。そのひとつが卒業する6年生を送る催しでのエピソード。
矢島さんともう1人の選手と下級生11人が対戦するゲームが行われ、矢島さんのチームが敗戦すると「2人対11人じゃ、勝てるわけないだろ」と、余興として行われたにも関わらず、悔しくて泣きながら帰宅してしまったという。「サッカーで負けるのは本当に嫌なんです。勉強とかはそう思わないんですが」
それは、打越中学校入学と同時期に入団した「東京」の下部チームに所属してからも変わらなかった。勝ち負けを決めるためではなく、技術向上を目的に少人数で行う練習ゲームでも常に勝ちを意識し、試合の流れについていけない選手には怒りをあらわにしたことも。
背景にあるのが、サッカーが好きという思い。3歳上の姉の友人に誘われ、5歳の時に初参加したサッカークラブの体験会の後、顔にボールを当て鼻血を出しながらも「楽しい。またやりたい」と母親に訴えた。「それについて私は覚えていないんですが。子どもの頃はサッカーか鬼ごっこか、という感じでしたね。得点を決めるのが何よりも好きでした」。それは今も続く原動力だという。
チームを「J」王座に
目指すは「東京」をJリーグ王座に導くこと。試合終了のホイッスルをピッチの上で聞き、心から喜びたい、と話す。「プロに憧れるというよりも、FC東京の選手になりたかった」と公言するほどの”FC東京愛”をもつ。
他チームからプロ契約の話があっても、「東京」でないのなら、同チームのジュニア育成部門で、子どもたちにサッカーを教える道を選んでいたかもと、その思いを語るほどだ。
幼少期に生まれて初めてJリーグの試合を観戦したのが、味の素スタジアム(調布市)でのFC東京戦だった。選手と観客が一体となり、勝利を目指す姿に魅了された。「サポーターと一緒に戦う、あの瞬間を味わいたいんです」
昨年の約1年間、大きな怪我をし、長くプレーできなかった自分を信じ、獲得に動いてくれたチームに恩返ししたいという思いも強い。そのためには、まずは身内を「倒し」、レギュラーを獲得しなければならないと包み隠さず公言する。
「憧れの選手というのはいない。自分を信じていくだけです」
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