ミニコミ誌「I*do!」の編集長(発行/原発井戸端会議・神奈川事務局) 仲田 博康さん 南区東林間在住 66歳
”NO”の声が全ての始まり
○…「何も止められなかった。仲間内では話せる。けれども、その外にいる人の心に訴えることができなかった」。脱原発社会の実現を目指す、ミニコミ誌「I*do!」は1988年に創刊。「原発の問題を最初からやり直そう」。273号積み重ねてきた時間は、あの日、一気に振り出しに戻った。
○…沖縄県出身。1995年、忘れがたい大事件が起こる。米軍兵による少女暴行事件―。沖縄の怒りは日本初の県民投票が実施されるまでに。当時故郷を離れており、投票権はなかった。それでも、アクションを起こす。「新聞の全面広告を買い取り、紙面上で”擬似”県民投票を行おう」。投票率上昇へ繋がればとの思いからだった。費用捻出の資金を県外の友人・知人に呼びかけた。投票の前日に発行された2つの地方紙には、賛同者の名前が虫眼鏡でしか見られないほど、びっしり五千人分。目頭が熱くなり、声をあげることの大切さを身に染みて感じた。
○…ある時から、写真撮影が趣味に。ソメイヨシノが咲かない沖縄に住む妹から、桜の写真が欲しいと電話があってからだ。数日経って、「あれはデジタルで撮ったの?いくら?」と再び連絡が。妹が購入したいというので、素直に答えた。するとまた電話が。「お金送ったから。還暦のお祝いね」。休日は”思い出の一眼”を持って出かける。
○…”一般の人に伝わる誌面でなければ結局、事態は動かない”。震災後に痛感した。専門知識の難しい説明だけではなく、被災地の人やそれを支援する人々に登場してもらい、生の声を拾い集める誌面作りに、今は心を砕く。震災前は120数名だった会員は一年経つと、150名を数えるように。「百年前のこともわからない。なのに、10万年、20万年保管しないといけない放射性物質に責任が持てるか」。この「井戸端会議」が少しでも届くよう、ノーを発信していく。それなしには、何かが変わることもないのだから。
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