2012年「相模の大凧まつり」実行委員長 吉澤美芳(みよし)さん 南区磯部在住 69歳
”絆の結晶”いざ、風を待つ
○…男の子だと、凧を揚げて盛大に―。特に長男が生まれると、一層賑やかに祝ったそうだ。それは家単位のことでなく、上磯部、下磯部、勝坂、そして新戸、それぞれの集落では、若者が互いに負けぬよう、一際大きな凧をこしらえるようになった。それが古くからこの場所に伝わる”初節句の風習”。「今では新磯の大凧というだけじゃなく、相模の大凧だから」。新しい実行委員長として意気込みは十分。「立派な凧を見て、この街に住んでいることの良さを感じてもらえれば」。準備は万端、後はいい南風を待つだけだ。
○…上磯部地区(南区磯部)の生まれ。中学の時に初めて凧作りに挑戦した。長男が生まれた時は、東京にいたが、やはり初節句には1m20cm四方の凧を都内で揚げた。「珍しかったらしく、近所の人がみんな見に来ていたよ」。上京中も5月の連休には相模川の河川敷で、カメラ片手に大凧の姿を追いかけた。30歳の時に帰郷。すぐにメンバーに誘われ、大凧の醍醐味を味わっている。
○…水道工事業を営む。現在も現役で、市外へ出かけることも多い。毎日のように遊びに来る孫との時間を楽しむ。近所の人からは「子どもが生まれた」「孫の祝いに」と、ミニ凧作りを毎度お願いされる。「何年もやってるから、もういくつ作ったかわかんないなぁ」。”みよっさん”の愛称で、周囲から頼りにされる兄貴分だ。
○…「仲間意識が強い。それがこの地域の良い所」。骨組となる竹選びから始まり、メンバーらは準備に半年を費やす。当日、揚げるために50人は必要。巨大な凧は、仲間との連携・チームワークの結晶そのものだ。そしてそこには伝承され続けてきた、先人の知恵と技術が息づいている。今年は大震災からの復興を願い、題字と別に”絆”という一文字も記した。河川敷の空に4つの大凧が雄大な姿を見せる時、この地域ではまたさらに、人と人との繋がりが深まっていく。
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