相模原での落語イベント定着に尽力した 樋口 武さん 中央区中央在住 67歳
落語が取り持った”官民コラボ”
○…都内の演芸場では見られない「四派競演」を四半世紀もの間、敢行する八起寄席(やおきよせ)(南区相模大野)に今年で10年を迎える杜のホールはしもと(緑区橋本)の若手落語家選手権。いまや、若手噺家の”ガチンコ勝負”の場ともいえる相模原。そんな”市の個性”を、行政の立場から育んだ。「八起さんが10年かけて育てたものをアシストしたのは、今盛んな”民・官のコラボ”のはしりだろうね」。
○…「小さいころからラジオで先代の金馬や志ん生といった大御所の噺に親しんだ世代」という自身も、中央大学落語研究会出身。高座名は「第三代ふられ亭(てい)ちく生(しょう)」。代々受け継がれてきたという、その”名跡”も「今は15代目くらいじゃないかな」。プロになろうという考えは「毛頭なかった」。卒業後は市役所に就職。定年まで、多くの文化事業やイベントに携わった。「さくらまつりを担当したときは、案内を寄席文字で書いてもらったりしたなあ」。
○…在職中は、本人曰く「ヨタばかり飛ばして、よく怒られたねえ。イベントの担当は(再開発などの)”力仕事”ができないから。俺のいたポジションは潰れちゃうって有名だったんだから」。とはいえ、宇宙航空研究開発機構の研究施設に縁のある地域と友好関係を結び、たちあげた『銀河連邦』は現在、被災地・大船渡支援の下支えになっている。
○…現在は、自ら卒園した保育園の理事長を引き受けつつ、「仕事は旅人」を自称。先日はニューヨークで絵画とブロードウェイの舞台を堪能した。「元々は落語しか分からない。でも(立川)談志師匠が『能は分からないから見ない』という弟子に『分からないから見るんだよ』ってね。色々なことに触れないと、真髄は極められないってことだよね」。落語はいつしか仕事や人生の哲学に。「文化は”促成栽培”では育たない。行政は”引っ張る”のではなく、時間をかけて”民”のやりたいことを見極めて”手助け”をしなきゃね」。
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