絵本『でこぼこイレブン チームでいこうよ!』(作・絵/講談社)でデビューした 白崎(しらさき)裕人(ゆうと)さん 南区相南在住 52歳
独学で栄光。「チームもいいね」
○…凹凸感のある、ゴツゴツとした絵肌。少しくすみを帯びた色使い。児童書らしからぬイラストとスポーツもののストーリーは、絵本業界では珍しい着想で審査員の目を引いた。応募数は合計378点。大手出版社グループが主催するコンクールで人生初の大賞に輝き、その処女作が今月中旬、世に送り出された。
○…東京都中野区生まれ。幼少期から、漫画好きで『鉄腕アトム』や『巨人の星』の登場キャラを、教科書の片隅に落書きする少年だった。神奈川県職員として勤める傍ら、20代後半に絵画制作を開始。油絵や水彩画などに親しんだ。とはいえ、絵画を専門的に習ったことはなく、そのほとんどが独学。”わからない”という躓(つまず)きは、知り合いになったプロの画家や、勤務先に出入りしていた画材屋に尋ねて、解決してきた。何より「描きたい」という衝動が自身の才能を開花させた。
○…妻・娘2人と、5年ほど前に相模原に移り住んだ。現在は県立愛川高校(愛甲郡)の事務職を務める。実は、妻も同じ県の職員。「職場結婚。そんなもんですよね」と照れながらも、忙しい家族全員が揃って、「いつか山へハイキングを」と目を輝かせる。
○…物語自体にだいたい10回。その修正依頼に合わせて、見開きで11画面ある絵もその都度書き直す日々。提出物には毎回、編集からの”赤”が必ず入ってくるからだ。大変さと同時に、普段にはない刺激も。「コンクールでは、『ここを直して』とか言われることはないですから。出版は、それこそ『チームでいこうよ』ですもんね」。今まで経験したことのない、共同作業。達成感はひとしおだった。まだまだ駆け出し。しかし、今回の担当編集者からは「(見込みがあるから)また違う作品で絵とあらすじを持ち込んでみては?」と期待されている。それは”チームメイト”も認める、仕事ぶりだったということだろう。次回作上梓も意外と、遠い日のことではないかもしれない。
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