「ロータリー米山記念奨学会」の奨学生として中国から相模原市へ留学している 玄(げん)峰俊(ほうじゅん)さん 南区上鶴間本町在住 29歳
医療に国境なし
○…中国の浙江中医薬大学での研修医生活から一変、現在北里大学大学院で医療研究に励んでいる。「賑やかすぎず、心が落ち着く。故郷に通ずるところがある」と流ちょうに相模原の印象を語る。生まれて初めての一人暮らしに「ちょっと寂しいですね」とはにかむ。
○…専門は整形外科。変形性股関節症などの治療に使う人工股関節の研究・開発に勤(いそ)しむ。「日本の医療はレベルが高い。中国は技術的には世界と差は無いが、研究や開発が弱い」と指摘する。現在は修士。来年4月からは博士課程で、「iPS細胞」など再生医療にも目を向け専門を掘り下げていくつもり。将来的には「国境を越えた共同研究をしたい。国と国とのかけ橋になりたい」と語る。
○…中国の東北地方、吉林省延吉市の出身。12歳の時に父が肝臓がんで他界。医師の母は一人で姉と自分を育てた。医療を志したきっかけの一つは、幼い頃に見た、治療を施された患者の笑顔だ。一人暮らしの母の話に「帰郷したら親孝行したいですね」としんみり。
○…日本文化に大きく影響を受けた。特に漫画「スラムダンク」に熱中し、中学でバスケットボールを始めたほど。大学時代はバンドでギターを担当。「XJAPAN」など日本のバンドの曲も演奏した。最近では漫画「進撃の巨人」に熱中。日本語の勉強も兼ねる。
○…日本で印象に残るのは東日本大震災。発生時は渋谷の日本語学校で勉強中で、「『外へ出ろ』と、私たちを真っ先に逃がしてくれた」という教員の対応に、「感動した。今もはっきり覚えている」。現在の日中関係に水を向けると「中国人は基本的に日本人を嫌いじゃない」とし、震災時に自己を犠牲に他人を救った人の話などを例に「日本人を尊敬するという声も多い」と話す。一方、「歴史問題などで日本に悪いイメージを持つ中国人はいる。交流の機会が少ないから、分かり合えないのだと思う」と、相互理解の必要性に言及した。
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