(一社)日本バーテンダー協会から2014年度ベストバーテンダー表彰を受けた 伊吹(いぶき)雅浩(まさひろ)さん 相模大野在住 50歳
自然体で「当たり前」に
○…1998年の2月、店舗物件を探すため初めて相模大野駅に降りた。ふらっと入った不動産屋で最初に紹介された物件が、その年の4月には自分の城となっていた。「探した唯一の物件。出会っちゃった」。淡々と振り返る。こうして生まれたBAR「オードヴィー」は、今年で満16年を迎えた。日本バーテンダー協会から協会活動への寄与を認められ、このほど「ベストバーテンダー」の表彰を受けた。
〇…25歳の時、今も銀座で活躍する名バーテンダーのカクテルを飲み「鳥肌が立った」。「どうすればこういうカクテルが作れるのか」。腕が上がらなくなるまで、指の皮がむけるまで技術を磨いた。時代と共にカクテルも変化し、従来のレシピに新しい解釈を加えたものも登場している。だが、『スタンダード』と呼ばれる定番カクテルへの思いは強い。
〇…埼玉県大宮市(現・さいたま市)の生まれ。高校卒業後、喫茶店・バー経営の専門学校で学び、実習生となり、後に同校の職員に。その後、知人のつてで、県内の金属加工機械メーカーの飲食設備のバー部門責任者となる。社員レストランなどの運営に携わった後、独立した。「当たり前のことを当たり前にやれば、どの場所でも通用する」という信条。それは「ごく自然に、お客様に喜ばれるための準備を重ねていくこと。1杯のジントニックをおいしく作る努力を怠らないこと」ということだ。
〇…家族は夫人と中学、小学生の娘。生活時間にすれ違いはあるが、休みの日などは家族と過ごすひと時をできるだけ持つようにしている。「子どもが小さい頃は相模原公園など、よく遊びに行きました」。思い出話に、ふと父親の顔に戻る。店のブログを頻繁に更新する「筆まめ」な一面も。その日仕入れた酒や手製の酒肴など、写真とともにさらりと紹介する。これからも顧客に「明日の糧となる1杯」を提供するため、「当たり前」を続けていく。
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