今月初旬、神川橋付近の上空に3mほどの凧が悠々と浮かび、散歩する家族連れなどの注目を集めた。長い糸をたどると地上で持ち主の男性がラジオを聴きながら木陰に佇んでいた。
空から続く糸は地上にくくりつけられ、落ちてくる気配はなく、釣竿のリールで巻く仕組みになっている。田中孫一さん(84・伊勢原市在住)は凧揚げ歴20年。定年までは日本電気(NEC)の製造現場にいた。絵を描くのが得意で、知人から凧の絵を頼まれたのを機に揚げ始め、様々な凧関連イベントに参加してきた。「あのダルマの絵は失敗。100円ショップで見つけたシャワーカーテンで作ったんです」。このほかにもゴミ袋をつなぎ合わせて作った凧(=透明な凧)なども持参しており、代わるがわる揚げている。車の中から取り出したのは卓球選手の福原愛さんや動物を描いた凧、時代物など様々な作品。「糸のバランスが大事。尾っぽをつければ誰でも揚げられる」と凧を広げた。これまで200枚以上自作したという。そしてつぶやくように「若い人はやらないね」。寒川の風は冬は北から、夏は南から吹きやすい。「今日の風は柔らかい」と青空を見上げた。
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