東京都功労者表彰(教育部門)を受けた 小山 靖昭さん 東浅川町在住 74歳
幼稚園を「人」学ぶ場に
○…「人としての基本的なことを教えたい」。そんな思いで44年間、幼稚園の園長として子どもたちと向き合ってきた。日常のなかだけでなく、運動や音楽の時間などでも「話をしっかりと聞くこと」の大切さを伝えるなど、”技術”よりも基本的なことに重きを置いてきたのだという。「子どもたちは”未来からの訪問者”だと思って将来を見据えて見守ってきました。いや、私が子どもたちに癒されてきたのかな」
○…自身の小学校時代の苦い思い出が指導者の道を選んだきっかけとなった。うまく学校に馴染めず、友だちができなかった自分に居場所をつくってくれたのが小学校の先生。「職員室に私専用の席をつくり、話を聞いてくれたんです。おかげで救われました。先生に憧れをもつようになったんです」。その先生はよく「お薦め本」も紹介してくれたのだという。読書好きの原点だ。
○…当初就いたのは、中学と高校で国語を教える先生。ただ、当時荒れていた生徒たちを受け感じたのが幼児教育の必要性だった。そこで一念発起し、農家だった両親の賛同を得て東浅川町の農地に現在運営している幼稚園をつくった。多くの借金を背負うことになったが、「預けるだけというイメージだった幼稚園を教育の場にしようという一心でした」
○…今年から、園長の座を娘の布由奈さんに任せ、自身は理事長という立場に。変わらないのは、子どもたちを送り迎えするために園門に立つこと。「しっかりとした姿勢で子どもたちに挨拶をすることを心がけています。模範にならないとね」。今は、幼稚園関係者などからアドバイスを求められることが増え、趣味である陶芸の時間がとれないことが悩み。優しい目の教育者の「定年」はまだまだ先のようだ。
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