昔話の継承に励む「高尾山とんとんむかし語り部の会」の会長を務める 吉田 美江さん 絹ヶ丘在住 75歳
残すため 語り続ける
○…八王子に1000話はあるという昔話。会の使命は「先人たちが(口頭で)残してきたその話を『語り』という形態で残す」こと。26人の会員は日々、勉強に励み、市内の学校や保育園、高齢者施設などへ出向き「語る」ことを続ける。「自分は100話くらいなら」。10年務めた会長職をこの春、退く。会として4年前には本を出し、昨年からFMラジオで番組を持つようになった。「長いようであっという間でした」
○…昔話に興味をもったのは20代の頃。大阪に住む時期があり、関西の歴史について触れたことで生まれ育った八王子への興味がわいてきた。子供会の活動を通して昔話を研究する師匠に出会い、本格的に学びだす。「そこに住んでいた人に思いをはせるのは大変面白い。今に通じていると感じることが多々あります」とその魅力を話す。最も好きな物語は川口川などが舞台の「石芋」。「弘法伝説のひとつです。登場するお婆が自分と重なって」と笑う。
○…趣味は民俗学系の本を読むこと。夫と早朝に犬の散歩をするのも楽しみのひとつ。孫たちと一緒に書道と水彩画を習っているそう。「中井貴一さんの主演で(八王子のまちづくりをした)大久保長安をドラマ化」という大きな夢もある。
○…「とんとんさんだ!」。保育園等への「出前語り」ではそう呼ばれることも。紙芝居や読み聞かせとは違う。顔、目を見つめ一人ひとりに語りかける。継続的に訪れることで最初は興味がなかった子も、次第に耳を傾けられるように。「子どもたちは聞き上手になります。想像力も養えます」。ある園児がこう話しかけてきた。「今度は自分が小さい子にお話を聞かせてあげたい」。10年の間で最も印象に残っている言葉だ。
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