「謝罪として土下座を求める」「欠陥がある商品の代金より高額な賠償を要求する」―。主にサービス業に対する、そのような「悪質クレーム」(カスタマーハラスメント=カスハラ)が社会問題となっている。昨年、労働組合が行ったアンケートによると、スーパーの従業員などおよそ6割が迷惑行為にあっていることがわかった。コロナ禍で増加したとも言われている。市内スーパーなどに現状を聞いた。
組合「互いに尊重を」アルプスでは
産業別労働組合UAゼンセンは昨年、サービス業に従事する人、およそ2万7000人(回答数)に悪質クレーム(迷惑行為)についてアンケートを行った。そのうちスーパーマーケットで働く人およそ4400人の結果では、直近2年以内に悪質クレームの被害にあった人は58・2%にのぼった。印象に残っている迷惑行為は「暴言」「同じ内容を繰り返すクレーム」「威嚇・脅迫」の順に多かった。
「大変難しい問題です」。市内小売業大手スーパーアルプス(滝山町)のスーパーアルプス労働組合(UAゼンセン所属)の塩澤伸久さんはカスハラについて頭を抱える。
コロナが拍車?
コロナ禍で巣篭もり消費が増え、スーパーは活況だ。一方、来店者も従業員もマスクを着用していることで表情や声の聞き取りにくさから誤解やうまく伝えられない場面も生じているそう。塩澤さんは「接客=笑顔が大事ですが、マスクを着けているとそれを目だけで表現しないといけない。それらの要因(コミュニケーションの取りづらさ)がお互いにストレスに感じてしまう点だと思います」と推測する。「『お客様は神様です』という考え方があったように、今でも商人は地位が低いと認識している方もいらっしゃるようです。そのような方々にとってクレームを言うことが様々なストレスの解消となっているのかもしれません」。先のアンケートでは被害の中で新型コロナウイルス感染症の影響によるものがあったと答えた人は43・0%だった。
このような問題に対し、UAゼンセンでは昨年末、新たに「お客様も従業員も尊重される社会へ」というメッセージを打ち出した。労使協働の対策として従業員へのメンタルケアや国や政策要求として航空法(離着陸や安全を妨げる迷惑行為に対し罰則を与えることが出来る)のようなルールを取り入れる活動を進めているという。
商業施設、商店は
一方、市内の商業施設、商店はどうか。
ある商業施設は「マスクを着用していない他のお客様に対し、こちらにクレームをいただいたことがある」と今年に入ってからあった事例を話す。そのような場合は客と客との間に入り直接対応することもあるが、基本的には掲示物で注意を促すなどに留めているそう。
ある商店は「コロナ禍でこの1年、お店で働いているとお客様がイライラ、ピリピリしている感じが伝わってきます」と、現場の雰囲気を説明する。ただ「幸い具体的にハラスメントの被害を受けたことはないです」。周辺店舗からもそのような事態は聞いたことがないとし、「我々は顔を知っている間柄のお客さんが多い。その点でスーパーなどと違うのではないでしょうか」と話した。
![]() スーパーアルプスの塩澤さん
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