2021NAS編物手芸新作コンクールで文部科学大臣賞を受賞した 和田 キミ子さん 泉町在住 80歳
愛と根性、糸にこめ
○…受賞者一覧の通知を娘と一緒に入選、佳作と下からじっくり眺め自身の名前を探した。そのため「一番上」に記された自分を見つけるのに時間がかかった。「ふわっとなんとも言えない気持ちに。80歳になってもこんな気持ちになるのね」と、喜ぶ。コンクール出品自体が人生初。「徒然に編むのが気持ちよく、心地良い作品になったから」。出品した理由をそう話す。
○…生まれは福岡県。学生時代はテニスクラブに所属した。姉が地元でも有名な選手だったため周囲の期待も高まる中、「私は本当に不器用で。先生に『下手くそ』って言われちゃって」と振り返る。テニスは諦め、代わりに選んだのは「高校野球のおっかけ」。応援団に入りたかったが女性はできない時代。それならと、友人に声をかけ試合の度に応援に行く会を作った。賑やかな応援は選手の間でも有名だったという。「あの頃はトんでたのかもね」と、女学生のように明るく笑う。
○…「不器用でも糸に対する愛と根性で形になるところ」と編み物の魅力を語る。家族が止めなければ深夜まで編み続けることも。「本当に今が幸せ。あした死んでも悔いはない」という。実は今年初め、大腸がんの手術を受けた。入退院を繰り返し、生死を彷徨ったことも。周囲が驚くほどの回復を遂げられたのは並外れた気力と体力があったから。「家族はみんな『編み物愛のおかげだ』っていうわね」
○…「もっと若い人に興味持ってもらえたら」と編み物の魅力を伝えている。講師として第一線は退いたが、自宅隣でサロンを開き、生徒たちが訪れている。今回の受賞は生徒にもいい励みにもなったそう。「何歳になってもわくわくした喜びがあるから、皆さんにもぜひ挑戦してほしい」
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