「避難されている方と接していて感じるのは、コミュニケーションの場が絶対的に不足しているということです」―。相模原市での相談窓口を兼務している、市こども青少年課の担当者は被災者が孤立してしまうことを危惧する。現在も、市内に暮らす東日本大震災による避難者は約360人という(2月27日、市調べ)。
この数字はこのほど、市の調査でわかったもの。中でも特徴的なのは、福島県からの移住者が、全体の3分の2以上を占めていることだ。特に多いのは、原発事故の影響を大きく被った福島県南相馬市で、その人数は100人弱にまで上ると見られている。
同課によれば、「親類が相模原に」「学生時代に住んでいた」など、この街に何かしらの縁があり、居住を選択した人がほとんどという。とはいえ、住み慣れた街ではないことから不便さを感じることも多いそうで、「どこへ買い物に行ったらいいかわからない」「気の置けない知り合いがいない」などの悩みを抱えている人は少なくない。
話し相手欲しい
また、こうした避難者には手紙を送付し、アンケート調査を実施。家族構成や要望の把握を目的としている。昨年9月に行った結果では、「話す相手がなく、そういう場が欲しい」といった声が目立ったそうだ。
この結果を受けて市では昨年11月、イベント『潤水都市さがみはらフェスタ』の中で「ふれ愛」という市内避難者交流の場を設けた。当日は、100名の市内在住の被災者が来場。そこは、同郷で生まれ育ち、被災という境遇を味わった者同士ならではの共感が生まれる場所となった。故郷の訛や方言で語り合い、持参した被災地や自宅の写真を眺めながら、「大変でしたねえ」と声をかけあった。なお市では、第2回目の市内避難者交流の場「ふれ愛」を、4月7日(土)の市民桜まつりで行う予定だ(【電話】042・769・8293/市避難者相談窓口)。
「迎え入れて」
行政からの補償の不確かさ、なかなか見つからない就職先、そして戻りたくても戻れない恋しい故郷―。「私たちができることって何なんだろうと思います」。被災者から相談を受ける窓口職員も、その答えを模索し続けている。けれども、わかりはじめたこともある。「『交流の場がない』『なかなか話し相手ができない』という悩みを抱えておられる方もいます。地域に溶け込んでいただけるように、私たち市民は迎え入れる姿勢でいることが大切なのだと思います」。
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