南区西大沼在住の画家、遠藤彰子(あきこ)さん(67)がこのたび、2014年秋の紫綬褒章を受章した。「知らせを聞いた時は突然の話で驚いた」と話す遠藤さん。「世の中に後押しされたようで、元気づけられる」と受章を喜び、「時代も変わるが、自分も変わっていく。これからどんなイメージが湧いてくるのか楽しみ」と、創作への飽くなき意欲を見せた。
全国で14人
紫綬褒章は、学問やスポーツ、芸術などで優れた業績を挙げた人を対象に、毎年春と秋に授与される。今回の受章は全国で14人。
文部科学省では遠藤さんの選考理由を、独特な時空間に豊穣な世界を描いた作品発表や、後進の育成を通じての美術界発展への貢献が評価された、としている。
東京都中野区出身の遠藤さん。幼少から絵を描くのが好きで、都立高校の芸術科に進学。現在に至るまで半世紀の間、絵に携わってきた。結婚を機に22歳の時に相模原市へ転居。20代に人間と動物の共存を描いた「楽園」シリーズで多くの賞を受賞。30歳手前で、生まれたばかりの長男が生死をさまよったことをきっかけに、平和の中に危うさを取り込んだ「街」シリーズを開始し、1986年に作品「遠い日」で「画壇の芥川賞」として知られる安井賞を受賞した。
1000号「続ける」
絵のさらなる可能性を追い求めるうちに、500号や1000号(縦333cm、横497cm)といった大きな作品に取り組むようになった。現在も年に1作は1000号を描き出展する。「体力が続くまで描きたい。中身がスカスカになったら大きな絵を描いても意味が無い。大作を成り立たせるための考えや、絵が動くようなエネルギッシュな感覚。それをどこまで続けられるか、楽しみでもある」
遠藤さんが絵に投影するのは、自身の生き方だ。「時代の感覚を取り入れながら、その時の自分の外的・内的なものを表現している」。年齢を重ねていくことにも戸惑いはない。「先のことはわからないから。これからどんなイメージが湧き出てくるのか楽しみ」と話す。
現在は武蔵野美術大学油絵学科の教授という顔を持ちつつ、普段は自宅アトリエで創作に勤しむ。各地での展覧会や40年以上出品を続ける二紀展の作品制作など、自宅にいる日は10時間、大学へ行く日も3時間ほど筆を握る。絵を描かない日は無い。「いつも『この作品が最後かな』と思うけど、完成すると、『よし、まだ大丈夫』と次作の準備を始める」と微笑む。講演会やコンクール審査など多忙の中にあっても、「今は絵を描き続けて、少しずつ海外にも目を向けながら発表していけたら」と今後の抱負を語った。
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