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「継承する使命」が原動力  相模大野在住の能楽師 松山隆雄さん

文化

公開:2017年1月5日

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「皆様に能に触れて頂きたい」と松山さん
「皆様に能に触れて頂きたい」と松山さん

 「より多くの方に能に親しんでいただきたい」―。そんな思いから相模原を拠点に40年余り、能を通じて地域発展に尽力してきた。相模女子大学グリーンホールを会場に自身が主催する公演「さがみはら能」は、今年で20周年の節目を迎える。「相模原市や小田急電鉄をはじめ、多くの方にお世話になり今年で20周年を迎えることができました。日本文化が下火になりつつある中、65歳を迎えた今でも能を継承していかなくてはという強い使命感に突き動かされています」

所作、息づかいに魅かれ

 寺院で幼少期を過ごした少年は、12歳で能と出合う。装束をまとい舞台で舞う能楽師と、袈裟を着た住職がゆっくりと歩く姿、能の謡(うたい)と寺の経…その全てが一つに重なった。「能の所作、息づかい、衣を翻す姿にどこか魅かれました」と、600余年の歴史をもつ能の世界にのめり込んでいった。

 翌年、13歳で名門・梅若六郎家に弟子入り。住み込みで8年間、修行を積んだ。その後は能楽師として独立。1998年には国・重要無形文化財(総合)に認定された。

「相模原」で伝えていく

 相模原を活動拠点に据えたのは、20歳の頃に東京で指導していた弟子の一言だった。「相模原には能を伝える人がいません。ぜひ、舞台や教室を開いて文化を広めてください」。以来、能の公演はもとより、その収益金を東日本大震災の被災地に寄付するなど、慈善活動にも精を出してきた。

 能に入れ込む一方、大の釣り好きでもある。「全国で一番色黒な能楽師かな」と笑うと、日に焼けた肌に白い歯がこぼれる。ひとたび舞台で漁師役を演じれば、網を投げる様は漁師さながら。「本物」に触れることが、役に魂を宿していく。

 およそ230曲の演目を後世へ伝承すべく、日夜稽古に励んできた。演技のみならず、京都から能面師を招いては、能楽堂での本公演などで使う能面を1年に1面ほど、自作している。「まさに変身したよう」と表現する様々な顔を模した能面は、役が変わっても「自分の顔のような気がします」。

 能の技術を伝承するべく自宅に併設した「松山能舞台」。今春からは能楽資料館として一般開放する予定で、自作の能面を展示するほか短い演技講座も行うという。能を通じて地域の文化醸成に尽力しつつ、自身も芸にさらなる磨きをかけて後進の育成に繋げるべく、今日も舞台に立つ。
 

演目「高砂」で住吉明神を演じる松山さん=国立能楽堂、写真は提供
演目「高砂」で住吉明神を演じる松山さん=国立能楽堂、写真は提供

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