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市長インタビュー 新時代 生活基盤を最優先 新型コロナ対応に全力

政治

公開:2021年1月1日

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にこやかに取材に答える本村賢太郎市長
にこやかに取材に答える本村賢太郎市長

2021年の年頭を飾る企画として、本紙では本村賢太郎市長に、新春インタビューを行った。本村市長は相模原市の未来に対する構想や考え方などについて率直に語った。その内容を2週に分けて紹介する。

(聞き手/さがみはら南区版編集長・佐藤豪)

 ――早速ですが、2020年を振り返っての感想をお聞かせ下さい。

 「2年目の市政運営の舵を取らさせていただいたのですが、新型コロナウイルスの対応に追われた1年でした。2月中旬から感染患者が発生し、増加したことを踏まえ、感染拡大防止のため、市主催のイベントの中止や、小中学校の臨時休業、209の公共施設等の休止など、これまでにない緊急の対応を実施しました。そのほか、医療体制の確保のため、「神奈川モデル」を基本として、病床を確保するための医療機関への支援、衛生研究所の検査機器の増設なども行いました。さらに、これまでに、総額約899億円の補正予算を計上し、「命を守るための医療体制の備えへの支援」、「活動再開に向けた市民や企業への継続支援」、「新しいステージに向けた地域活性化」、「新たな日常への対応と持続可能な地域社会の構築」といった4つの柱を軸として、衛生、生活、経済の各分野において、対策を行ってきました。経済対策としては、市の職員が提案した1万5000円以上の買い物で、3900円のキャッシュバックを行う「さがみはら39キャッシュバックキャンペーン」は、1727の事業者が参加し、39日間で約9万1500人の方にご活用いただき、約13億7000万円の経済効果があったと見込んでいます。

 一昨年の「令和元年東日本台風」の復旧、復興については、昨年5月に策定した「令和元年東日本台風に係る相模原市復旧・復興ビジョン」に基づき、着実に取り組みを進めています。道路などは、まだ未開通のものもありますので、早期に復旧をめざしますし、災害の教訓を踏まえた「風水害時避難場所」を53カ所から114カ所に増やし、ペットが一緒に避難できるような取り組みも行いました。

 SDGsの推進やシビックプライドの意識の醸成については、4月にSDGs推進室を設置。7月に、これまでの取り組みや都市と自然の調和や共生社会を推進する高いポテンシャルが評価され、国から「SDGs未来都市」に選定されたほか、9月には政令指定都市としては初となる「さがみはら気候非常事態宣言」を行い、災害に強いまちづくりを進めていく決意を示しました。民間の広告会社が実施しているシビックプライド調査において、本市の総合ランキングが、2018年には151自治体中、149位だったのに対し、令和2年には78位に上昇しました。72万人の市民がもっと相模原を好きになり、知ってもらいシティサポーターになっていただければすばらしいと思います。

 スポーツ・芸能・教育分野では、牧野地区の旧菅井小学校を拠点に活動する自転車ロードレースチーム「TeamUKYO」が、昨年11月に5つ目のホームタウンチームとして新たに仲間に加わりました。今年からは、「Team UKYO SAGAMIHARA」と、『相模原』の冠を入れて、国内、海外を舞台にレースに参戦する予定です。加えてプロボクサーの中谷潤人選手の世界王者誕生や囲碁の芝野虎丸さんの3冠達成、市内初の義務教育学校「青和学園」の開校など明るい話題もありました。市の職員が自ら提案し、果敢にチャレンジしてきた姿が見られたのも嬉しく思っています。

 JR相模原駅の北側に位置する相模総合補給廠の共同使用区域内に、「相模原スポーツ・レクリエーションパーク」が11月14日にオープンしました。今後は、令和3年度に人工芝グラウンド、4年度にボール遊び広場、5年度に人工芝の軟式野球場、6年度には駐車場と管理棟が完成する予定です。段階的に整備を進め、「いよいよ基地が返ってきたな」と市民が実感できるようになっていくと思います。最終的には、残りの約197ヘクタールも返還して、まちづくりを進めたいと思っています。

 最後に、小惑星探査機「はやぶさ2」が12月6日、6年もの歳月を掛けて、小惑星リュウグウから採取したサンプルを、格納したカプセルに入れ地球に帰還させるという壮大なミッションを見事に成し遂げました。JAXAが相模原に来て31年、市民に親しみ愛されていますので、連携して宇宙のまちとしてプロモーションしていければと思っています」

 ――今年、重点的に取り組むべきことを教えて下さい。

 「何といっても、今年はウイズコロナ、ポストコロナを見据えた対応を考えていかねばなりません。例えば、緑区の藤野総合事務所の会議室棟を活用し、7月を目安に、テレワークの実証運営を予定しています。非接触、非対面となり、大分日常生活の形が変わってくると思います。最大の課題の一つにワクチン接種がありますが、これをいかにして72万市民にだれ一人残らず対応できるようにするかが課題です。経済対策としては、市内店舗でのスマートフォン決済利用者に対し、ポイントを還元する事業や、観光産業の特色であるキャンプ場について利用者への助成等を行うマイクロツーリズム促進事業を実施していきます。また、小・中学校や公園トイレなどの手洗い場の自動水栓化、避難所・避難場所の空調設備整備の試験的な開始、オンラインでの口座振替受付サービスの導入などにより、行政サービスを非接触や非対面で完結する環境を整えていきたいと思っています」

行財政構造改革に着手本村市長インタビュー

 ——厳しい財政状況下、難しい市政運営が予想されますが

 「市税収入は、感染症拡大の影響により、かなりの減収が見込まれており、市政運営はこれまでになく厳しさを増します。このままですと、今までの予算枠内配分の19%のマイナスシーリングをかけなければならないところまできています。これに対応するためには、大事業も予算の裏付けのないものは見直さなければなりません。6年後にリニア開通が予定される橋本駅周辺の整備など数百億円の投資が必要となっても進めていかなければならないもの、反対に中止にするもの、新たに計画を立て直すべきものなどしっかり精査した上で判断していきます。「立ち止まる市長」など厳しい批判の声もいただいていますが、一度立ち止まって計画を見直さなければならないと思っています。将来的にはさらに、民生費、扶助費の見直しも必要なところまできています。引き続き、感染症の影響にも的確に対応しながら、総合計画基本構想に掲げた将来像の実現に向け、先頭に立ち、取り組んでいきます。

 こうしたことを踏まえ、前例にとらわれない行財政構造改革が必要です。一昨年9月末時点における長期財政収支の仮試算を行ったところ、令和2年度から9年度までの間に、累計で約768億円の大幅な歳出超過が生じるという厳しい数字が示されました。「(仮称)相模原市行財政構造改革プラン」は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、2度にわたりスケジュールを延期しましたが、昨年10月以降、「行財政構造改革本部会議」を再開し、今年3月末までに同改革プランを策定できるよう取り組んでいます。同プランの計画策定も、令和3年度から5年度までを「第1期」、6年度から9年度までを「第2期」と位置付け、「第2期」から抜本的な改革を実施することとし、「第1期」は検討・意思決定を行い、先行可能な改革項目から実施していきたいと考えてます。

 さらに市民から提出される申請書の押印廃止等に向け、全庁的に手続の見直しに着手しています。これまでも取り組んできましたが、より一層押印廃止を加速させ、市民の利便性、効率性を追求し、その先にあるペーパーレスや電子申請などのICTの積極的な活用に向けて取り組みたいと考えています」

 ——SDGs、シビックプライド条例についてお話しください。

 「SDGsについては、市の最上位計画である「総合計画」において、積極的な取り組みを進めています。具体的には、昨年はSDGs推進室の設置や、仕組みについて分かりやすく説明した「特設サイト」の開設、全国自治体で初となる相模原市オリジナルデザインの「SDGsカードゲーム」の作成など、子どもたちに向けての普及・啓発に努めてきました。そうした中、7月に国から「SDGs未来都市」に選定されましたが、選定後に何をするかが重要になってきます。企業や団体等の取り組みを後押しする「さがみはらSDGsパートナー制度」を創設し、150の企業・団体等が登録しています。もっと登録を増やし、これらの企業と対話をする機会を作り、取り組みを聞きながら、我々行政に望む点、どのように推進していくか聞いてみたいと思ってます。

 シビックプライドは、市民が相模原市に対し、「誇り」、「愛着」、「共感」を持ち、「まちのために、自ら関わっていこうとする気持ち」のことですが、相模原は3区に分かれており、それぞれ特色が違います。相模原には、多彩な魅力や多くの資源があるにも関わらず、シティセールスがうまく機能しておらず、市民に十分に伝わっていないと感じています。こうしたことを打破するためには、市民全員がシティセールスサポーターになっていただければ、これほど強いものはないと感じています。そうした中、一昨年11月に「シビックプライドの推進に関する検討委員会」を組織し、昨年10月には、条例案の骨子について答申を受けました。現在、条例案に関するパブリックコメントを実施しています。条例を制定するにあたり、大切なのは子どもたちにも分かる親しみやすく簡素化したものにしたいと思っています。3月の市議会定例会議に条例案を提案したいと考えています」

※オリンピック、SC相模原、市民へのメッセージは1月7日号で掲載します。
 

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