区内若松の合同会社HAPPYカイゴ(関仁巳代表)はこのほど、認知症の高齢者が取り組めるジグソーパズル「懐トレ・メモリーズ」を開発した。絵柄を合わせることが苦手な人でもパズルが完成できる工夫が凝らしてあるのが特徴。同社ではこのパズルを商品化するために6月18日(金)まで、クラウドファンディングを実施している。
同社が開発した「懐トレ・メモリーズ」は、高齢者には懐かしい昭和の四季の風景が描かれており、若い頃を思い出しながら楽しめるようになっている。また、パズルが苦手な人のための工夫として、台紙に足し算や引き算といった計算問題が書いてあり、ピースの裏にはその答えとなる数字が印字されているので、計算能力を使うことでパズルを完成させることができるというもの。
パズルのピースは、高齢者が扱いやすい大きさに作られており、関代表は「指先を使うことで予防につながる。認知症の方でも習得した能力は衰えておらず、生き生きとした表情でパズルに取り組んでいる」と話す。
クラファンで支援募る
同社はこのパズルを商品化するため、クラウドファンディングを実施。支援に対するリターンは手作業で作成するパズルだ。当初の目標はすでに達成しているが、商品化するための印刷費用に充てパッケージの一新を図ることで、クオリティを高くしたいという。
商品化は、関さんの父親が昨年11月に亡くなったことがきっかけ。亡くなる直前まで笑顔でパズルに没頭し取り組んでいた。認知症と診断されてから、ものごとに関心を示さなくなっていた父親が、得意だった計算能力を生かしパズルを完成させるたびに笑顔になったという。父親の介護に全てを使うことができなかったが、関さんは「私自身も時間と心の余裕が生まれた。介護をする側も応援したいという思いです」と話している。
同級生同士で起業
同社は認知症を含めた高齢者に向けてレクリエーションに特化したサービスを提供するため、関さんの大学の同級生でもある川口澄江さんと共に起業した。高齢者の自宅を訪問し、レクリエーションを提供する「訪問型個別レクリエーション」を行っている。コロナ禍以降は、感染予防を徹底しながらサービスを行い、高齢者向けレクリエーション商品の企画・制作・販売に力を入れている。今後はパーキンソン病など握力が弱い人向けのパズルの開発をしていくという。
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