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「福島は解決していない」 被災者の声 収録本が反響

社会

公開:2013年7月4日

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 東京電力福島第一原発事故から2年4カ月が経とうとしている。そんな中、福島県外に避難している人や、今も県内に住み続けている人たちの、事故後の生活の様子や現在の心境などが綴られた冊子「福島で生きる・福島から避難して」が6月15日に発行され、反響を呼んでいる。

寄稿45人分

 出版したのは、「原発井戸端会議・神奈川」(仲田博康編集長=写真、南区東林間)。原発などを中心に環境・エネルギー・平和などの問題に対して、全国の読者や市民団体などから寄せられた意見・感想をまとめた機関誌「I*do!」を、1988年から月1回発行しており、原発事故以降は、主に福島県で被害に遭った人たちの声を中心に構成している。

 冊子の編集・印刷を手掛けた仲田さんによると、事故から2年が経とうとしていた今年1月頃、機関誌の読者らから「一冊にまとめて欲しい」などの要望を受け発刊を企画。「できる限り多くの掲載を」と、事故発生直前の2011年2月15日号から発行直前の13年5月14日号まで、45人分の寄稿を収録した。

人々の葛藤

 「福島はもう収束したんでしょ」。仲田さんはそんな街の人の声に心を痛める。「メディアでは放射能汚染の問題はもうほとんど報じられない。『福島』はまだ終わっていない」と仲田さんは繰り返す。事故の傷跡は周辺地域に今も色濃く残る。事故後も福島県内に住み、放射能の脅威と隣り合わせの生活を続けている人。県外へ避難し、家族が離ればなれになってしまった人。「残った人も離れた人も、それぞれに葛藤がある。どの選択が正しいのかなんて自分には答えられない」 

 冊子には、被災した人たちの「生の声」が収録されている。「文章の上手い下手は関係ない」。寄稿者の心情をダイレクトに伝えるため、原稿にはほとんど手を入れていないという。「皆、それぞれ悩んでいる。これを読むと、福島の人たちが実際に今、何を感じているのかがわかる」と仲田さんは話す。

行くも残るも…

 福島県三春町に夫と義父母を残し、東京都東大和市に娘と避難した女性は、正月に8カ月ぶりに同町へ戻った時のことを綴る。「あれ以来一度も検査していない自宅の井戸水をコップに汲み、ゴクゴクと美味しそうに飲む義父。(中略)帰り際に義母が言った。『もうここらへんも0・8マイクロシーベルト/時になったから時々戻って来ても大丈夫だばい』。東京の約10倍なのに、『もう大丈夫』と言う。(中略)(帰り際に)義母が持たせてくれた”作り立てのお餅”と”塩鮭の切り身”が、疲れた腕にずっしりと重い。それは、福島に残して来たもう一人の自分の心の重さだった」

現在増刷中

 初版は300冊を発行。主に機関誌の定期購読者や仲田さんの知人などに告知したところ「ぜひ購入したい」という声が殺到した。口コミでの反響や、新聞に取り上げられたこともあり、発行後わずか10日余りで完売状態に。現在、200部を増刷している。

 冊子はB5判で164頁。1冊500円(税込)。1冊につき別途80円の送料が必要。経費を除く利益は福島のために使われる。また機関誌「I*do!」は2千円で年間購読ができる。毎月15日(前後)発行で通常4頁。

 冊子の購入や機関誌の購読希望者は、原発井戸端会議・神奈川事務局、仲田さん【電話】042・744・2706へ。
 

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