神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS

広島-長崎 関家さん完走 「423Km」眠気との戦い 70時間走り続ける 「すごいチャレンジだった」 

公開:2014年9月11日

  • LINE
  • hatena

 8月6日午前9時に広島県の原爆ドームをスタートし、9日午前11時までに長崎県の原爆投下中心地公園のゴールをめざす「2014広島―長崎リレーマラソン」で、南区磯部在住のウルトラマラソンランナー関家(せきや)良一(りょういち)さん(47)=星工業株式会社勤務=が初出場で制限時間内のゴールを果たした。10回目となった今年は12チーム66人が参加。1人での参加は関家さん他3人。関家さんは423・4Kmを3日間ほとんど眠らず70時間30分で走り抜いた(9日午前6時55分到着)。1人チームでの完走は大会初。大会を終えた関家さんは相模原市内で取材に応じ「途中止めたいとは思わなかった。あとになって『すごいチャレンジ』だと実感している」などと感想を話した。*関家さんのみ6日午前8時25分にスタート

戦争 「風化させない」

 瀬戸内海をのぞむ風光明媚なコースを堪能――。とはいかず「景色を見る余裕はなし。今をクリアすることで精いっぱい」。7日(2日目)の明け方に転倒し、胸を強くうち鼻を擦りむく。そして、その日の日中にもまた転んだ。関家さんにとって転倒自体が珍しいこと。いつもと違う展開に戸惑いながら走り続けた。

 マラソンは知人のサポートのもとで行われた。知人は車に食料などを積み込み、コースを先回りし、休憩地点で待機。関家さんはその地点をめざしマップを片手に走っていく。夜は手元のライトでマップを照らしながら。

 スタート時は雨。当初は1日3時間眠る計画だったが、実際はあえて眠らず、早めに貯金(距離)を稼いだ。この先さらに天気が崩れ、ペースが落ちることを心配したからだ。「適当に歩きながら」で、平均すると時速7、8Km程度のペースだったそう。気温はだいたい32、3度。湿度の高さが堪(こた)えた。夜は熱帯夜で、風がなく暑かった。

 「眠気との戦いでした。30分の仮眠が2回ほど。あとは細かい仮眠を含めて合計で3時間も寝ていません」。壮絶な3日間を振り返る。

5分仮眠で回復

 本当に眠くなったときは、短めの仮眠をとる。寝るといっても道路に横たわるだけ。5分後に目を覚ます。それで体力は回復している。「僕だけの特技じゃないかな」。まさに「ウルトラ級」の体力だ。

 食事はこまめにとった。「(初日の夜に食べた)コンビニのざるそばが一番美味しかった。無性に牛丼が食べたくなることもあり、サポーターに周辺を探し回ってもらいました」

 関家さんのフェイスブックには1143人の友達がいる。関家さんは今回、GPSを身に付けて走っており、ネット環境のあるパソコンやスマートフォンなどで、誰でも関家さんの現在地を確認することができた。走っている途中は、フェイスブックを通じて世界各国から応援のコメントが届いたそうだ。

これがゴール…

 最後の10Kmは夢遊病者のようにフラフラだったそう。「これがゴールか…」。そこに誰が待っているわけでもない。ゴールである公園の記念碑にたどり着き屈(かが)みこんだ。観光客に自ら偉業(・・)を伝えると、「それはお疲れ様」と。「ゴールしても感動がなかった。こんなのは初めて。泣く余裕もなかった」

 疲れ果てた関家さんだが、コンビニで大好きなビールを購入。飲みながら自分で荷物を持ち、駅へと向かった。新幹線でその日のうちに自宅へ。翌日は妻と長女がケーキでお祝いをしてくれたそう。そして11日には職場へ向かった。

 「こんなに後まで疲れが残るのは初めて」「足の指と胸が痛い。(転んだときの影響で)肋骨にひびが入っているかも」。マラソン後はしばらく時差ボケのような感覚だった。「これまでは48時間走り続けたのが最長でした。70時間やってみて、『何とか動くもんだな』というのが今回の発見です。途中『止めたい』とは一度も思いませんでした」。もしこの挑戦が若い時だったら「気持ちが切れていたかな」とも。「48時間のとき(当時41歳)はボロボロ。みんなに甘えっぱなし。でも今回は自分の足で帰ることができました」

 大会の後、母親と話すタイミングがあり、そこで祖父母の戦争体験談を聞かせてもらった。「今回のマラソンがなければ、そんな機会はなかった。このため(戦争の話を聞くため)に走ったのかな」。広島に原爆が落とされた時間にスタートし、長崎に落とされた時間までのゴールをめざすというこのマラソンは「核兵器と戦争のない平和な世界の実現」を願って企画されたもの。「戦争を風化させないという認識をもつきっかけになれば。いつかは東北も走りたい。今回はチャレンジでなく必然でしたね」

10月に報告会

 なお、関家さんは今回、仲間と協力し、一般市民に向けたこのマラソンの報告会を開催する。日時は10月5日(日)、午後2時から4時。会場はJR橋本駅北口のソレイユさがみ(イオン橋本店6F)。参加は無料。希望する人は下記のアドレスにメールで申し込みを。定員70人となっている。【関家良一・広島―長崎423Kmマラソン報告会】参加希望連絡アドレス【メール】ryo-1.sekiya@nifty.com問【携帯電話】090・4836・1452

さがみはら南区版のローカルニュース最新6

西善寺で花まつり

西善寺で花まつり

600人が参拝

5月2日

高校生プロボクサー誕生

高校生プロボクサー誕生

光明相模原高の竹内凰騎(おうき)さん

5月2日

区内企業が被災地支援

能登半島地震

区内企業が被災地支援

医療用マスクなど提供

5月2日

「音響、教育機会も同等に」

南市民ホール

「音響、教育機会も同等に」

中学生投書 市へ取材

5月2日

今年も群泳200匹

佐野川こいのぼり

今年も群泳200匹

5月5日まで 200m谷渡し

5月2日

「唯一無二の歌を」

伊勢正三さん・イルカさんインタビュー

「唯一無二の歌を」

6月7日、グリーンホールでライブ

5月2日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 4月6日0:00更新

  • 1月19日0:00更新

  • 12月1日0:00更新

さがみはら南区版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年5月2日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook