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米軍には天国 住民には地獄  相模原市文化財調査・普及員 山田真也

社会

公開:2015年7月23日

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墜落現場の様子(「絹の道・原町田」武相新聞社)
墜落現場の様子(「絹の道・原町田」武相新聞社)

 今から51年前の昭和39年(1964年)4月5日、半年後に東京オリンピックを控えて日本中が高揚感に包まれていた時期だった。桜の花も見ごろの春うららからな日曜日の午後4時半頃、大勢の買い物客で賑わっていた町田市原町田2丁目の商店街に突如として大爆発音がして大きな黒煙が立ちのぼった。米軍のジェット戦闘機が墜落し、炎上したのだ。当時の国鉄横浜線原町田駅(現JR横浜線町田駅)近くの庶民的で平和な商店街は一瞬にして阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄と化した。

 米軍のジェット戦闘機は、沖縄の嘉手納基地から訓練飛行で厚木基地へ向かう途中だった。町田市上空高度三千mで操縦不能となってキリモミ状態で落下した。直撃をうけた精肉店の店主の妻(28歳)と長男の生後9カ月の男児、洋裁店の店主の母親(74歳)、そして店の前を自転車で通行中の男性(47歳)が倒壊してきた家屋に押し潰され一瞬にして命を奪われた。飛び散ったジェット機の燃料が引火し付近の家屋も延焼。結局、死者4名、重軽傷者32名、全半壊の家屋が26軒という被災状況だった。

 現場は直径15m、深さ6mの大穴があき、半径50m四方の民家にまで機体の破片や土砂が飛び散っていた。民家約50戸の窓ガラスが割れ、軒が傾くなど衝撃の凄まじさを物語っていた。

 一方、ジェット戦闘機のパイロット(27歳)は、パラシュートで脱出して現場から2Km離れた高ヶ坂団地の空き地に降りて無事だった。公務中の事故なので条約により日本の裁判で裁くことができず原因究明はなされなかった。さらに、肝心のエンジンが地下20m深くのめり込んでいて、掘り出されなかった。そこまで掘ると、周囲の家屋の倒壊を招くという理由だったようだ。エンジンは現在も現場の地中深く眠り続けている。かくしてなんの原因究明はなされず、しかも被害者に対する補償費もビックリするほど低かった。

 4千万人以上が住む首都圏の上空を米軍ジェット機が我が物顔で飛んでいる。厚木基地と横田基地に挟まれた町田・相模原・大和地域は墜落事故の危険性が大きいだけでなく、爆音被害も相当ヒドい。

 昭和20年(1945年)8月28日、コーンパイプをくわえて連合軍最高司令長官ダグラス・マッカーサーが厚木航空基地に降り立った時以来、日本はアメリカの属国状態となってしまった。昭和26年に日米安保条約が、翌年には日米行政協定が締結。これらによって日本は米軍に駐留権を認め、広大な軍事基地を無償で提供することとなった。さらに米国への莫大な防衛分担金が、米軍人とその家族には刑事裁判上の特権が与えられた。日本は米国に広大な土地を貸しているが、地代を取るどころか「思いやり予算」2千億近くも与えている。そして今、米軍がいざという時に「地球の果てまでも武器を持って駆け付けますよ」と言うような”いざ鎌倉”ならぬ”いざ米軍”法案を通そうとする始末。「国際支援法」ではなく「米国支援法」ではないのか。

 戦後70年、ノーと言えずにあっちこっちに大金をばらまく「お人好しで弱腰」のニッポン人!私たちは、実はそういう国民だったのではないでしょうか。
 

戦後70年 語り継ぐ戦争の記憶

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