女子美術大学(南区麻溝台)3年の近藤さくらさん(21)がデザインした相模原市の薬物乱用防止啓発ポスターが、2月下旬から市内の公立学校や行政関連施設などに配布され、随時掲示されている。同ポスターのデザインを学生が担当するのは、今回が初めて。
2014年から市と同大が締結している「包括連携協定」の一環として昨年9月頃、市が大学側に作成を打診した。制作は、就業力促進を目的に学内外から受注した案件を学生に業務委託する同大の「デザインルーム」で請け負うこととなり、教員から勧められた数人の学生によるコンペティション形式で、近藤さんの作品が選ばれた。
目にとまるものを
『1回だけなら』と普通の若者が軽い気持ちで薬物に手を出す。しだいに体が蝕まれていき、やがてボロボロに崩れ落ちるが、それでも薬物はやめられない―。そんなストーリー性を持たせ、カラフルなコミック調にデザインされた作品。「せっかく学生が作るのだから従来の固定観念にとらわれず、パッと見て立ち止まってもらえるように、目にとまるおしゃれなものを作ろう」と近藤さんは作品に込めた思いを語る。
制作過程では、頭に浮かんだイメージを下書きし、数十通りの案を起こした。思案したのは、自分のアイデアと依頼主の意向とのバランス。自分なりに考えた案を複数用意し、市側のイメージと照らし合わせる作業を繰り返した。キャッチコピーを付ける際には、「(薬物に手を出す)最初の1回を止めたい」という市側の意向をふまえ、『1回だけなら大丈夫?』という、見た人に問いかけるようなものにした。「そもそもの依頼に立ち返ったので、軸はぶれなかったと思う」と近藤さん。制作を依頼した市医事薬事課では「薬物使用による変化が見た目でわかりやすく、危険性がより伝わるのではないかと思う。目を引くデザインで、より多くの人に目にしてもらえれば」と話す。
「イラストを仕事に」
将来は、「好きなイラストを生かせる仕事がしたい」と近藤さん。今回の案件を「『見る人に伝えたい』ということを考えたら、自ずと”アート”から”デザイン”に変化した」と振り返り、「より伝わる方法が見つかる限りそれに近づけていく。でもやりすぎても説明的になる。さじ加減がセンスだと思う」と意見を述べた。
ポスターは700枚作成。市内の公立小中学校や高校、まちづくりセンター、大学、コンビニエンスストアなどに2月下旬から配布、随時掲示されている。問合せは市医事薬事課【電話】042・769・8343へ。
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